１９（Kiside） ページ19
ふじ…いや、太輔が、沢山の洋服の中からポケットの付いたシャツを選んで着てくれた。
「はい。ここに入って。」
胸のポケットに入ると…
「太輔の顔…近い…///」
「何照れてんの？」
「だって…」
だって…
太輔だよ？
映画の大画面で太輔の甘い笑顔、ドアップで見てるのと同じ。
皆なら分かってくれるでしょ？
「んふふ。ちゅ〜したくなったらすぐできるね。(笑)」
さらにこんな事言ってくるし…
なんでこういう事、さらっと言えるんだろ…
「さて、行きますよ〜。」
ご機嫌な太輔の運転する車で、太輔御用達のショップへ。
ちょっとお高めのセレクトショップは平日とあって、客も少なめ。
太輔は、顔見知りの店員と少し話をするとすぐに一人で商品を物色し始めた。
「あ、これ良いな。…あ、こっちもいいかな…」
ぶつぶつ言いながら、何かを選んでる。
ポケットから顔を出して誰かに見られてもいけないし、藤ヶ谷の買い物はよく分かんないし。
ポケットの中でちょっとうとうとしていたら
「宏光」
小声で呼ばれた。
「ん〜？」
「宏光、どれがいい？」
「え？」
「死角に入ってるから大丈夫。出てこいよ。」
ポケットからひょこっと顔だけ出すと、目の前に並べられたたくさんのバッグ。
「宏光が入るバッグ。どれがいい？」
「バッグ？」
「うん。仕事上あった方がいいだろ。衣装のまま移動する時や、俺以外のメンバーと移動するとき、必ずしも、ポケットがある訳じゃないからさ。」
移動中に俺が入るバッグを探してくれてたみたい。
「ショルダーは揺れが酷いだろうし…リュックは宏光の顔見れないし…ウェストバッグが一番いいかなって思うんだけど…。」
そっとポケットから俺を出して、バッグの隣に立たせてくれた。
「入り心地、確かめてみな。」
並べられたバッグに片っ端から入ってみる。
「これかな…。」
ちょっと大きめだけど、生地がすごく気持ちいい。
「これ？」
「うん。」
「ちょっとそのまま入ってて。」
そっと持ち上げたバッグを太輔が自分の腰に着ける。
「どう？」
「うん。いい感じ。」
俺専用の移動バッグを買ってくれた太輔は、そのバッグにさらに柔らかいタオルを敷いてくれて…
「よし。出来た。」
「うわぁ！めっちゃ気持ちいいっ！」
高級車顔負けの移動車(笑)が俺に与えられた。
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作者名：MISA
| 作成日時：2014年8月7日 0時
