【ワールドトリガー】哀憐系、黒兎少女。【空閑遊真】

◇白兎１羽目。 助言◇ ページ16

少し時間を巻き戻して、
玉狛支部の一室。

「よっ、A」

俺は画面を興味深そうに眺める
Aに声をかけて隣に行く。

「あ、遊真先輩、どうもです」

画面から目線を外し、Aは
挨拶した。

「何を見てるんだ？」
「あ、これですか？B級隊員の
ランク戦の記録とかのデータです、
もうすぐB級ランク戦が始まるので」

「ふむふむ……」
これがB級隊員のデータか……。

「これはB級上位チームの、
二宮隊と影浦隊ですね、この隊は
以前A級で活躍していましたので、
実力は本物……かなり手強いです」
「ふむふむ……」

あんまり頭に入って来なかったが
返事をする。
隣でくすっと小さい笑い声がした。

「先輩、今回のB級ランク戦は遠征にも
関わる大事なものです。

この二つ以外にも東隊や荒船隊に、
鈴鳴第一等々の強者が揃っています、
B級は甘くないのです」

彼女は学校の先生の様に話を続ける。

「遠征を目指すなら二宮隊と影浦隊、
この二つの隊を倒すのは絶対条件。

正直な所、私は玉狛第二がここを
倒せるか聞かれると、
………無理だと答えます」

ピクリと体が反応した。
はっきり無理と言われたから。

「頑張って、としか私は言えませんが、
応援していますので、
……ガッカリさせないで下さいね」

そんな風に言われたら、負けられないな。
俺はいつもの調子で返事をする。
「おう、判った」

それじゃあと言い残してAは
部屋を出た。

「よし、いっちょやるか」

一人になった部屋で呟いた。

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