†第１話 お祭り† ページ2
｢…はぁはぁっ、はぅ…は…｣
穿き慣れない下駄のカラカラという
音を響かせながら、
長い長いトンネルを歩き続ける。
ここはもう、何処なのだろうか。
トンネルはこんなに長かったのか。
様々な疑問が少女の頭を
行ったり来たりする。
｢はぁはぁ…っ…、いた…はぁ…｣
へたへたと地面に座り込む。
もう足が痛すぎる。
足が縺れて転んだり、下駄の性で
擦れてしまったり…。
膝も足も血がついている。
｢行かないと…｣
水分、塩分共に取っていないので、
熱中症になってもおかしくない。
それでも彼女はボロボロの足を
動かして、終わらないようなトンネルを
また歩きだした。
するとすぐに外の光がぼんやりと
見えてきた。
予想より出口に近かったのか。
｢あ…!｣
その喜びを隠せない様子の彼女は、
痛むであろう足で走り出した。
やっと出られる…!
そう思った。だが…、現実は少女に
その鋭い牙を剥く。
｢ゲホっ…え…？｣
呼吸が乱れ、咳が出る。
深呼吸をして出た先を見る。
目の前に広がる知らない世界。
ここもまた…、祭りをしている。
だが、屋台も行き交う者も…
奇々怪々な、不気味な何か。
人に近い者もいたが、人ではない。
見た目は確かにそれでも、違う。
その光景に、彼女は一人で怯えていた。
｢何よこれ…夢…？何なの…？｣
疲れて、幻覚でも見てるの？
ここは何処なの？
自問自答を繰り返しても、
答えなど出るはずがない。
｢嘘でしょ…、こんなの…｣
突然、目眩す少しの吐き気に襲われる。
吐き気は殆どないが、目眩が酷く、
とても辛い。
立っていられなくなり、ばたっと
地面に倒れこむ。
視界が歪む。全部がぐちゃぐちゃだ。
｢う…っ、く、はぁ…ゲホゲホッ…｣
そういえば…飲み物何も
飲んでないな…。
ペットボトル位、買っておけばよかった。
後悔を心の中で呟き、重たくなる
瞼を身体に任せるまま閉じた。
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作者名：ルピナス | 作成日時：2015年8月16日 18時
