《63》 ページ13
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《お前が言ったのにどこ見てんだ》
「...ちょっと待って心の準備《無理待てない》
そう言われても、見つめ合っていたら心臓が破裂しそうでゆんぎの目が見れない。
《俺の事見て、ちゃんと聞け》
私の顔をすっかり冷えた手で優しく包みながらそう言ったゆんぎの瞳は、柔らかい光を宿していた。
キュッと閉じられた唇が徐々に開かれていくその光景が、スローモーションのように目に映る。
《...A、が...好き》
聞けるわけないけど、聞けたらどんなに幸せだろうとずっと思っていた2文字が、白く薄い煙に変わって二人の間で溶けていく。
甘くも柔らかくもない、どこか不器用で不格好なその響きが堪らなく愛しくて、背中に手を回して硬い胸に頬を擦り寄せると、安堵からまた涙が零れてきて、声が震えた。
「...私も、ゆんぎが好きだよ。...好き」
《なら、なんでそんなに泣くんだよ》
少し困ったように笑うと、ぎこちない手つきで背中を摩ってくれる。
「だって、私ずっと失恋したって思ってて、それで...」
《あー...それで今日あんな曲ばっか歌ってたのか》
「うん...もうヤケになっちゃえ、って思って」
《まあ俺も、お前の質問に動揺してグラス落としそうになったけどな》
「嘘、全然分かんなかったよそんなの」
《そりゃまあ、顔に出さないように必死だったし》
「...ていうかゆんぎ、好きなとこ聞かれて最初に素直じゃないとこあげるとか、ほんと...」
《なんだよ、事実だろ》
「その言葉そのまま返す」
《こう見えて俺は案外素直だよ》
「...あ、言ったね?今の覚えとこ」
《...素直な時も、ある》
やってしまったと思ったのかすぐさま訂正してくるのが可笑しくて思わず小さな笑い声が漏れる。
1拍置いてからゆんぎもつられるようにフッと笑って、漏れでた息が耳にかかって少しくすぐったい。
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あがしおん(プロフ) - うわぁ……かっこいい……甘々ユンギさんありがとうございました! (2021年7月20日 23時) (レス) id: 3309fb3b4f (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - まゆう。さん» まゆう。さんのお話読ませていただいていたのでコメントくださり驚いております...!(;_;)ぜひ通ってください!笑 こちらこそ読んでくださり、素敵なコメントまで本当にありがとうございます!(TT) (2021年1月15日 0時) (レス) id: 6f2734bf2f (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - ゆあさん» ありがとうございます!わあ〜そんなに楽しんでいただけて嬉しすぎます(;_;)そうですね、少し寂しさもありますよね...!こちらこそ嬉しいコメントありがとうございます! (2021年1月15日 0時) (レス) id: 6f2734bf2f (このIDを非表示/違反報告)
まゆう。(プロフ) - ユンギさんとの、素敵な甘い恋をありがとうございました。ユンギさん、カッコ良すぎます。私もユンギさんに会いに、バーに通います!!!…あ、もちろん、テヒョンさんにも会いたいです!!!ほっこりする甘いお話を、ありがとうございました!! (2021年1月14日 17時) (レス) id: c199fca4fa (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 完結おめでとうございます!いや、見る前にあとがきの文字を見て『うわぁ、終わっちゃったよ〜泣』と母の前で声をあげてしまいました笑 大好きな作品だったので2人がくっついて嬉しいような寂しいような...胸キュンをありがとうございました! (2021年1月14日 16時) (レス) id: ae104e1948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天 | 作者ホームページ:https://twitter.com/_sora_way
作成日時:2021年1月11日 1時