また髪の毛伸ばしてくれんか・Ut ページ14
彼が好きな、私が嫌いなもの
全部、無くしてやろうと考えた。
「えっ、」
アパートの隣の部屋、私が帰ってきたところたまたま彼が外に顔を出す。
「まだ出かけるの、鬱君」
冷ややかな目で見てやれば、彼はパクパク口を開いたり閉じたり。
まるで金魚みたい、面白くて頬が緩んだ。
「…Aちゃん、髪の毛」
ようやく喋ったと思ったら、軽くなった私の髪に視線を逸らす。
「ん、似合います？」
彼がたった昨日褒めた私の髪の毛は、もう風には靡かない。
少し切り過ぎて男の子みたいなベリーショートになっちゃったけど、そのことは友達にこいつのクズさと共に泣きついて吐き出してきたし、もう開き直って全然気にしていない。
…友達の彼氏がこいつの友人だってことは忘れてたけど。
「いや、似合うけど」
何か寂しそうに眉を下げる鬱君。
その顔に苛立ちを感じつつ自室の鍵を回す。
「別に鬱君のために伸ばしてたわけじゃないし」
嘘。
彼が高校のとき私の髪を褒めてくれてから、ずっと長さはロングのままだった。
もしかして、の想いを込めて、なんて馬鹿馬鹿しいかもしれないけれど。
彼を諦めようとしてからもずっと長かったのはきっと未練たらたらだったせい。
その未練も昨日で全部消えたし、もう私は彼なんか好きじゃない。
好きになるのを、やめると決めたのだ。
「知ってる？鬱君。失恋した女の子が髪を切る理由」
君はたくさん見てきたんじゃないのかい、いろんな女の子と付き合ってるから。
中には切らない子もいただろうけど、涙を流すだけじゃ足りない時だってある。
阿保面の彼に、微笑みながら口を開く。
「髪の毛に乗った想いと過去を一緒に切り捨てるんだって」
そう告げて、彼に諭した。
もう君の事は想ってないよ、と。
「じゃあね」
そのうち家も引っ越そう。
こんな長い間君を想ってた、ストーカーみたいな女が隣にいたら嫌でしょうから。
ああ、あの女重かったわぁ、
そんな風に軽く忘れてほしいから。
そう思いながら玄関の扉を閉めようと思ったら、強い力で逆に扉を開かれた。
ドアノブから目をそらして上を向くと、切なそうに顔を歪める彼がいた。
初めて見るその顔に目を丸くする。
ドアを開けたまま玄関口で立ち尽くす。
ふわり、と夜風が廊下を通り抜けた。
鬱君の髪の毛が、靡く。
「僕も、髪切ればええんか」
ぽつり、とつぶやいた。
どういうことだ、と頭を回転させていると、そのまま彼は言葉を続ける。
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TACMI(プロフ) - 涼凪さん» ありがとうございます〜！年末くらいいちゃいちゃしろ！と思いを込めて作ってみました…応援嬉しいです！これからもよろしくお願いします。 (2018年1月24日 12時) (
レス) id: cc32a4eb10 (このIDを非表示/違反報告)
涼凪(プロフ) - とっても素敵なお話でどんどん惹き込まれてしまいました...！トン氏の俺も思っとるよ、の話でポロポロと涙が…陰ながら応援させてください。 (2018年1月21日 21時) (レス) id: 98f5f4de7e (このIDを非表示/違反報告)
TACMI(プロフ) - 木野さん» ああぁあぁ…ありがとうございます…私も好きです…コネシマ推しなので頑張りました…ヘタレシマありがとうございます…リクエスト了解しました！頑張りますので少々お待ちください！ (2018年1月19日 18時) (レス) id: cc32a4eb10 (このIDを非表示/違反報告)
木野(プロフ) - ああぁあぁ…（ナマズのものまね）好きです…。すみませんいきなり、最初のコネシマさんの話がヘタレっぽくて好きです…。リクエストいいですか？ゾムさんで文化祭でメイド喫茶する夢主ちゃんが学パロで見たいです！（何言ってるんだろう）これからも頑張ってください！ (2018年1月18日 12時) (レス) id: d1a6c35f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：80歳 | 作成日時：2017年12月31日 15時
