幼なじみの彼と彼について (ページ38)

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家に帰るとママが聞いてくる

「急に出ていったからびっくりしたわよ？どうしたの？」

さゆりと目が合いつい誤魔化す。
「あ…頼まれものを届けにいったの」
「あらそうだったのね。さあ、ご飯にしましょう？」

お互い黙々と夕飯を食べる。
ママはその様子を心配そうに見つめていた。

暫くして、さゆりが口を開いた。
「A、最近実弥と仲良くしてるよね？」

「あ……うん…」
今がチャンス。さゆりに話そう。

「話そうとしてたけど…
なかなか言えなくて。
実は…実弥と付き合ってるの」

そう言った瞬間

ガシャン！

さゆりの手からお茶碗が落ちた

「ふざけないで！私が実弥を好きなの知ってるのに！どうしてあんたと…」
睨み付けるさゆり。

いつもだったらここで私が謝り、
身を引くのがパターン。
だけど、もう人見知りが激しく、引っ込み思案の私は卒業するんだ。

「さゆり、ごめん。これだけは譲れない。
私も実弥が好きだから」

「私は絶対認めないからね！！」
怒りながら部屋へ走っていってしまった。

「A…さゆりは、気が強いから、あんなだけど、根気よく話せばきっと分かってくれるから、この事は、ママに任せなさい？
こればかりはね、さゆりのワガママで、どうにか出来る事ではないしね？」
優しく笑うママ。
「それに…あなただって…天元くんの事で、相当傷ついているはず。そこに気がつけば…さゆりも分かってくれると思うわよ？」

「ママ…天元の事…知ってたの？」

「あなた達のことならなんでも知ってるわよ？」

さすがママだ……。

ここはママに任せるのが一番と判断
お願いをした。

部屋に戻る。
この窓の向こうは、
ちょうど実弥の部屋だ。

カーテンを開けると
実弥の部屋の明かりが見える。
部屋にいるんだ…何してるのかな？
と眺めていると

突然カーテンが開き、
窓越しに実弥と目が合った。

実弥が窓を開けて、
私にも開けろという仕草をする。

窓を開けると

「意外と近いな」
照れながら私を見つめる。
「うん、近いね」
私もふふっと笑う。

「あのね？私達の事、さゆりに話したよ……」

「そうか…俺もちゃんと話すから」

「うん…きっと分かってくれると思う。」

「だな。」

「じゃ…また明日ね」

窓を閉めようとしたら

「A？手を俺の方に伸ばして？」

ん？なに？

手を伸ばすと
実弥の手が私の手の平に重なる。

「明日な？」

指先をそっと撫でると離れていく

離れたくないよ…実弥

私の中で好きが溢れ出した瞬間だった