回復したら… ページ35
＊＊＊
戸の向こうからする物音……
食器の重なる音が微かに聞こえる
うっすらと香ばしい珈琲の良い薫りが
徐々に脳を覚醒させる。
仕込みが始まったのか……
お店が開いたのか？
うっすらと目を開けると……
ぼんやりと映し出された部屋。
小さな窓から射し込む光が眩しく心地よい。
……朝だ。
いけない。
いつまでも寝ていられない…
お手伝いをしなければ。
私は……ここで働く身。
身を起こそうとすると……
「…………痛っ……」
ズキン……と経験したことのない頭痛と
なんともいえない倦怠感が襲い動けなかった。
「目ェ、覚めたか？」
ベッドの直ぐ横には、実弥が座っていた。
「……ずっと……居てくれたの？」
「約束したろォ？」
夜通し起きてるのはいつもの事だと、
頭を掻きながらボソリと呟く。
「身体…平気かァ？飯は食えるか？」
「少し…怠いです……食欲はないです……」
そうか…と心配そうな顔をする実弥。
そして、私の手に手を重ねると
「冷てェな」
「……え？」
「何か食わねぇと、身体温まらねェ。
無理に食えとは言わねぇが。」
「でしたら……珈琲を……」
私がお願いすると「あんな苦ェモン飲むのか？」
と言う実弥。
「うふふ…お砂糖入れたら……飲めますよ？あ、でも、実弥は…おはぎと、お抹茶の方がいいかしら？」
「…るせェ、その組合わせは最高なんだよォ」
顔を赤らめながらそっぽ向く実弥。
昔から変わらないな。
なんだか…ほっこりする。
その後、椙崎さんの用意した朝餉をいただく。
──
「準備したら、行くぞ」
蝶屋敷か。
「はい」
「それからァ」
それから？
「何でしょうか？」
「勝手に悪ぃと思ったが…女将に話した」
何を話したのだろう…。和子さんの事？
「今日で、女給はしまいだァ」
.
おしまい？
辞めてしまったら、食べていけない。
それは困る。
「……どういう事？」
「昨日約束しただろォがァ。……俺の傍にいろって」
「でも…私、家が……」
そう。私は山崎の家に勘当された身。
ここを辞めたら、家がなくなる。
だから、辞めるわけにはいかない。
すると実弥はとんでもないことを言い出す。
「その事だが…治療が終わったら俺の家に来たらいいだろォ」
今、俺の家って言った？
「え？一緒に住むなんて！！！」
「心配すンなァ、オメェの部屋用意してやるから」
いや！無理に決まってます！
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芳美(プロフ) - 前にメッセージありがとうございました♡読み始めたばかりで返事の仕方も分からず…(>_<)実弥のラスカルの画像も何故か消えてしまいました^^;これからも楽しみにしてますね♪ (2022年11月23日 18時) (
レス) @page38 id: 7b568aa020 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - 実弥LOVEさん» この作品を面白いと仰ってくださり本当にありがとうございます。とても嬉しいです。パスワードですが、すみません、誰でも閲覧できるこちらではお教え出来ないので、メッセージに問い合わせいただけたらと思います(^-^) (2022年5月18日 20時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
実弥LOVE - 暁に風想ふ。凄く面白いです。この続編のパスワード教えて下さい。 (2022年5月18日 16時) (レス) @page50 id: 46d98ab23b (このIDを非表示/違反報告)
しおちゃん - あのぅ....えのき様！私も占ツク作家デビューしたんですよ！鬼滅の内容で、「師範はご都合血鬼術と格闘中」っていうんですけどぉ....←さらっと宣伝すみません......ぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです！ (2022年3月29日 22時) (レス) @page45 id: 00486be8b9 (このIDを非表示/違反報告)
しおちゃん - ひゃぁ....やっぱりえのき様の作品はどれも目から水の呼吸が止まりません....。過去作をもう一度読んでいるんですが、やはり同じところで...あぁ.....新しい発見や伏線回収でさらにキますね....。ありがとうございますぅ.....あぁ (2022年3月29日 22時) (レス) @page45 id: 00486be8b9 (このIDを非表示/違反報告)
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