心と身体の大きな傷 ー実弥side ページ17
***
「……ごめんね。」
Aを見つめていると、急に謝ってきた。
「……気持ち悪いよね?」
「……は?」
何の事だ?
「これ…見たから実弥、びっくりしたのよね……」
俺の腕の中にいるAは、泣きそうな表情で
俺を見つめる。
倒れた拍子に、更にはだけた襟元を押さえ言った。
どういう事だ?
「……あの夜の……。鬼に…」
Aが必死に隠そうとしているもの…
そうか。あの時肩から胸にかけて
大怪我をしていた。
あの時の…傷跡か……。
俺は、そんなモン気にしちゃいねェのに。
だが……Aは違った。
カタカタと身体が震え、一筋の涙が頬を濡らす。
そして…震えながら…上ずる声で俺に言った。
「あぁ……実弥だけには…見られたくなかったなぁ」
そう言い、両手でそっと俺を押し、ゆっくりと起き上がると襟元を正す。
「……わりィ」
……俺は、ソレしか言葉が出なかった。
Aは、古傷を見る度に、あの夜を思いだし、
苦しんでいる。
それなのに、俺は……
己の浅はかな行動を悔いる。
「謝らないで?実弥は、何も悪くないわ?元はと言えば、私が酔ってしまったのがいけないから……。私ね?もう、お嫁に行けない身体なの。」
嫁に行けない?
「は?どういう事……」
ニコリと笑い、俺を見つめ言った。
「なんでもない……もう、大丈夫、酔いは冷めたわ。明日から任務、私に出来る事は、協力するから。よろしくね?」
「おぃ、ちゃんと説明しろよ?嫁にいけねェって……お前はまだ……」
「……ごめんね?もう、帰ってくれる?」
「A……」
……これ以上何も言えず、
俺は、Aの部屋を後にした。
あの夜、Aの受けた身体の傷と、心の傷……
俺は……癒してやることが出来ないのか?
「くそっ!!」
俺には…もう何も出来ないのか。
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芳美(プロフ) - 前にメッセージありがとうございました♡読み始めたばかりで返事の仕方も分からず…(>_<)実弥のラスカルの画像も何故か消えてしまいました^^;これからも楽しみにしてますね♪ (2022年11月23日 18時) (レス) @page38 id: 7b568aa020 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - 実弥LOVEさん» この作品を面白いと仰ってくださり本当にありがとうございます。とても嬉しいです。パスワードですが、すみません、誰でも閲覧できるこちらではお教え出来ないので、メッセージに問い合わせいただけたらと思います(^-^) (2022年5月18日 20時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
実弥LOVE - 暁に風想ふ。凄く面白いです。この続編のパスワード教えて下さい。 (2022年5月18日 16時) (レス) @page50 id: 46d98ab23b (このIDを非表示/違反報告)
しおちゃん - あのぅ....えのき様!私も占ツク作家デビューしたんですよ!鬼滅の内容で、「師範はご都合血鬼術と格闘中」っていうんですけどぉ....←さらっと宣伝すみません......ぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです! (2022年3月29日 22時) (レス) @page45 id: 00486be8b9 (このIDを非表示/違反報告)
しおちゃん - ひゃぁ....やっぱりえのき様の作品はどれも目から水の呼吸が止まりません....。過去作をもう一度読んでいるんですが、やはり同じところで...あぁ.....新しい発見や伏線回収でさらにキますね....。ありがとうございますぅ.....あぁ (2022年3月29日 22時) (レス) @page45 id: 00486be8b9 (このIDを非表示/違反報告)
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