職務中…… ページ23
*
私が立ち止まり、吹き抜けから階下を見おろしていると詩乃ちゃんも、同じ方へ視線を移す。
「あれ?もしかして旦那さん?」
「ぽいね…」
職務中か。
「声かけに行けないの?朝、会ってないんだよね?何か差し入れちゃったりする?」
ん……ダメなんだ。
「すごく厳しいから。そーゆーこと
ダメなの」
「ひょえー、そうなんだぁ……。なんとなく想像つくけどさー、やっぱり警察官って色々大変だねぇ…」
詩乃ちゃんが驚いてる。
……が、仕事している所、見たことないから…
気づかれないように、様子を見ていたい。
「実弥の職務中なんて……昔、トラブった時以外見てないから……ちょっと見てていい?」
「……あは!良いわよ!もう……Aちゃんって……
なんだかんだ言って、旦那さん大好きよねぇ?」
詩乃ちゃんにからかわれながらも
否定出来ない私だ。ごめんね?と言いながら
視界に入らないであろう場所から覗く。
張り込みなんだろうか……
少しだけだから……こっそり様子を見る。
当たり前なんだけど……
そこには、家では見せない真剣な顔。
インカムで何か話してる…
つい、ゴクリ……と喉が鳴る。
遠くにいるのに緊張が伝わってた。
私まで緊張する……
少し先にいる実弥は
すごく頼もしくみえて
すごくカッコよくて……
少し……遠く感じた。
それと同時に実弥に対してしてしまった自分の
行いが恥ずかしくてたまらなくなった。
私は……実弥の奥さん失格だ……
「詩乃ちゃん、ありがとう……行こっか?」
「え?もういいの?」
子供たち見てるよーって言ってくれるが、
もう……ここに居たくなかった。
「いいの。さ、どこ行こう?」
「…………大丈夫?Aちゃん?顔色悪いよ?」
「うん……大丈夫だよ。」
そう話していた時だった。
エスカレーターから実弥と、女の刑事さんなんだろうか……。二人で上がってくるのが見えた。
とっさに
「詩乃ちゃん隠れて!」
二人であわてて背を向け移動すると、職務が一段落ついたのか?壁の向こうから、楽しそうな会話が聞こえる。
段々近づき会話がはっきりしたとき……
「へぇ……やっぱり、理解してもらえないんですよ。同業者じゃないと。だから……離婚する人多いんですよ、ね?不死川さぁん?」
「そうゆうことだなァ」
……離婚?
実弥が?
手に持ってる荷物がするりと落ちた。
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えのき(プロフ) - れもんさん» コメントありがとうございます!褒めてくださりありがとうございます!お気に入り登録もありがとうございます!楽しんでもらえたようで良かったです(*^^*) (2021年9月26日 7時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
れもん - こんばんは!読みだしたら止まらなくなって、すいすいと全部読めました!とっても面白いです!続編も楽しみにしてます!お気に入りを666から667にしてしまった罪悪感…。…でも、お気に入りにしない選択肢はなかった!ウンウン(/・ω・)/ (2021年9月25日 20時) (レス) id: 5102ae8dc8 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - ユイぱさん» 続編へ移行します。準備が整いましたら公開しますね! (2021年9月23日 17時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - 柚葉さん» 小林さん……こわいよね? (2021年9月23日 16時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
ユイぱ - 続編できるんですか?楽しみです! (2021年9月23日 16時) (レス) id: 21c5274ef7 (このIDを非表示/違反報告)
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