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#27 ページ29

「着いたで」


うとうととしていたところを 享さんの優しい声で起こされる


「眠いなら、無理しいひんくても…」

『大丈夫です、大丈夫です』

「そっか」


前回来た時は私が号泣して、まともに飲めなくて…
帰ろうとした時に告白されて、享さんと付き合ったんだっけ

あれからそこまで経っていないのに、何故だか懐かしく感じた

店内に入れば、優しそうなバーテンダーさんが いらっしゃいませ、と席へ案内してくれる。



「梓ちゃん、何飲む?」

『カシオレで…』

「わかった。…じゃあ、俺はホワイト・ルシアンで。」



バーテンダーの人がカウンターの奥に戻るのを確認すると、享さんはこっちを見た



「で、この連休中何してたん?」

『えっと…』

「…梓ちゃんのことやろうし、体調崩したそらるさんの看病でもしてたんやろ?」

『その通りです…』



恐縮した私を見て、ふっと笑う享さん。


「ええよ、そんな縮こまらんで。
あんまり気にしてへんから」

『でも…』

「でも、じゃないよ。梓ちゃんは悪くないんやしね」


また笑顔を見せてくれた。




思わず、先ほどのことを思い出す



享さんにキス、されそうになった。

なんで拒んだのか、自分でもわかってる。

享さんの整った顔が近づいてくるのを見た瞬間、彼方の顔が頭に浮かんだ

そして、顔をそらしてしまった。


享さんのこと、選んだんじゃないの


自分でも何がしたいのかがわからない。


このままでは、二人を傷つけてしまう…


膝の上に置いていた手に力がこもる。



「…梓ちゃん?」

『あ、はい』

「大丈夫?」



優しい声でそんな風に聞いてくれる享さん。

その言葉に私は頭を縦に振る


「そっか…」

『はい』

「あのな、聞きたいことがあるねん」

『なんですか?』


「そらるさんと梓ちゃんが出会った時の話、聞かせてくれへん?」


頭を横に傾けて、享さんはそう聞いてくる

ここで断れる権利なんて、私にはない


『はい、いいですよ』





ーそらるsideー



「"彼方"さん、やっぱり梓ちゃんのことまだ好きなんですね」

「どうしたの、"真冬"。いきなり」


目の前でココアを飲む真冬がそう呟いた


「違うんですか?」

「違うわけではないけど…」


ですよね、とまた真冬は呟く



「昔の彼方さんと梓ちゃんを知っている僕からしたら…別れるなんて思ってもみませんでした。」


「…うん」



昔の俺たち、か。



そう考えて、俺は過去の記憶を手繰り寄せた

#28 ーeight years agoー→←#26



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雷亜 - 私って涙もろいんですよ(笑)一ページ 一ページ泣いて泣いて泣いて(笑) もうすごいですよ涙の量が((殴 (2018年4月7日 9時) (レス) id: e1e03b0ec4 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - 読みやすいしキャラが掴めていてとても楽しく拝見させていただいています。好きです。 (2017年12月10日 10時) (レス) id: 9ac8f0bb45 (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 星華(´∀`*)さん» ありがとうございます!無事第1章が完結してこちらも嬉しい限りです…!そう言っていただけて私も頑張って書き続けた甲斐がありました!続編含めて頑張るのでよろしくお願いします! (2017年11月14日 7時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
星華(´∀`*)(プロフ) - 1章完結おめでとうございます!もう…一気に読んだんですが…涙が…。すごく好きになりました!!続編楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年11月13日 16時) (レス) id: 110a37d70c (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 唄葉さん» 唄葉さんありがとうございます!大好き、なんて言葉わたしにはもったいないです……!第2章でも頑張らさせていただくので、よろしくお願いします!ありがとうございました!! (2017年11月4日 16時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MiKU | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月21日 13時

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