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悟性。 ページ6



雨。

という訳で今日も今日とて平和に部活をさぼる。

遂にとうとう2人の友人は無理に俺を止めることをしなくなった。


寂しいような、楽なような。


矛盾した気持ちが濁って纏わりつく。



しかしそんな気分を感じさせないような
軽い足取りで俺はまた公園へと向かう。


今日もまた黒いワンピースを身にまとった彼女が
ベンチに腰かけ本を読んでいる。


「Aさん!こんにちは」

彼女はちらりと一度俺に視線向けたあとまた本に
視線を落とした。


あ、今日は俺と目合わせてくれないんだ。


彼女に自分を求められていないような、
そんな寂しい感覚にふと襲われる。


Aさんには俺の事もっと見て欲しい。



そんな男子高校生らしい素直な我儘だけが身体を突き動かす。



「ねぇ見て!これ昨日俺が撮った写真」



ふっとスマホの液晶画面を彼女に見せればかなり大袈裟にギョッとおどろいた様子を見せるAさん。



『これ…私?』


「へ?どっからどう見てもお前だろうが」



わしゃわしゃっとずっと撫でてみたかった髪にどさくさに紛れて触ってみればAさんはとろんとした見たこともないような可愛らしい表情を浮かべた。



『私頭撫でられるの好きなの』



頬を赤らめてそう一言放った彼女を見て俺は一瞬のうちに手を引っ込めた。



男には何のとは言わないが欲なるものがある。
これを我慢しないと俺は彼女を襲いかねない。



そう思って再びスマホに写ったAさんの写真の話題に引き戻す。


「Aさんっていつも黒いワンピースですよね」


『大人っぽく見えるでしょ』



案外素っ気ない無意味な解答に驚いた。
見た目の割には幼稚な返事。




化粧もしない飾りっ気のない顔がまたそれでいて美しかった。



『それよりも、これ。なんていう名前なのこの機械。どうして私の姿がこんなにも鮮明に映し出されるの?』




「…は?嘘だろ?」



彼女が不思議そうな顔をして指さしたのはまさかのスマホ。



俺はAさんの驚愕的な基礎知識の無さにかなり驚いた。

観取。→←蕩揺。



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作品ジャンル:恋愛
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眠民。 - 颯桜さんの作品は、涙が出るほど切ないお話が沢山あるけれど、でもその涙って美しいと思うんですよ‥(語彙力)今回のお話も泣きました!!笑 (2月8日 18時) (レス) @page36 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 余白の落書き。さぶさん» 神だなんて恐れ多い☺️楽しんで頂けて幸いです (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - ネコ日和。さん» ありがとうございますとても嬉しいです😢‪🫶🏻 (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
余白の落書き。さぶ - え、神ですか……?神作をありがとうございます! (2022年8月19日 19時) (レス) @page35 id: 74c80fc40d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - 好きすぎて、題名の一部を名前にとりいれちゃいました。 (2022年8月2日 15時) (レス) id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年5月8日 21時

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