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偽造。 ページ24




お願い、起きて。

そして俺に何があったのか全て話して。




────────そうでないと俺は…




『…さとみ、さん?』



ふと、天使が舞い降りたのかと思った。
壊れて消えそうな声だった。




「A…っ!」



俺は小さな身体の少女を強く強く抱き締めた。


これでもかってほど、もう二度と離さないと心に誓って抱き締めた。



「いなくなっちゃ、嫌だ…」



自分が生み出したのか分からないような甘えた声に正直引いた。


どうやら俺はAさんの前ではいつものように自分の気持ちを隠して生きることができないらしい。



白くて細い指が俺の頬に触れる。


その指先はとても冷たくて凍っているかのようだった。




『さとみさん、どうして貴方が泣いているの…?』



「…え?」



俺は、泣いていたようだ。


彼女に指摘されやっとその事実に気づく。


少女の涙は宝石のように美しいのに、どうして自分の涙はこんなにも醜いものなのかとまた自分を責めた。




こんな自分嫌いだ。




圧倒的に他人より自分に自信がない俺は酷く胸を痛める。




そんな時、Aさんの黒い髪が俺の鼻を掠めた。
自分とお揃いのシャンプーの香り。


昨日の夜の甘い出来事は夢でなかったと確信する。





彼女が俺を優しく撫でた。


それはまるで────────────




"貴方は生きていていいんだよ"





強く俺の存在を認めるような力を持っていたように捉えられる優しさで。




『さとみさんは素敵な人だよ』




そう呟いた彼女に嘘の香りは一切しなかった。



「でもAがいなきゃ意味無いんだ…!」



こんな俺が生きていたってお前がいなきゃ意味無いだろ!




────────────どうか、

あの夢のように


俺を置いていかないで。




「ほら、これからはずっと俺と暮らそうよ。うちの親もきっと受け入れてくれる、大丈夫だから」



必死にAを自分の元に留める方法を考える。



もし君が何かに不安になって俺の家を抜け出してしまったのならそれは俺が悪い。


もう君を不安にさせないから。



もう大丈夫だから。




そう呟いたのがいけなかったのだろうか。









『もう私、駄目みたい』



溜息にも近い小さな濁った言葉だった。


必死に説得する俺を残虐的に容赦なく切り裂く強烈な一言だった。






彼女はそっと、瞳を瞑った。



世界が一変したと思った。

愛猫。→←昏睡。



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作品ジャンル:恋愛
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眠民。 - 颯桜さんの作品は、涙が出るほど切ないお話が沢山あるけれど、でもその涙って美しいと思うんですよ‥(語彙力)今回のお話も泣きました!!笑 (2月8日 18時) (レス) @page36 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 余白の落書き。さぶさん» 神だなんて恐れ多い☺️楽しんで頂けて幸いです (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - ネコ日和。さん» ありがとうございますとても嬉しいです😢‪🫶🏻 (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
余白の落書き。さぶ - え、神ですか……?神作をありがとうございます! (2022年8月19日 19時) (レス) @page35 id: 74c80fc40d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - 好きすぎて、題名の一部を名前にとりいれちゃいました。 (2022年8月2日 15時) (レス) id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年5月8日 21時

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