誰 か さ ん 。 【黄】

・ ページ2

・

私には、彼氏がいる。
とてもとても優しくて、余裕のあるいい男。



.....先輩、だ。




「Aさん〜、今日この後飲み会あるけど来る？」


『あ、いえ。今日家で彼氏が待ってるんで』




残業してしまったせいでいつもより遅くなってしまったな。



早く会いたい。早く甘やかして欲しい。
蕩けるような、言葉を私にかけて欲しい。




"Aさんって人付き合い悪いよね。"

"彼氏いますアピール？"




な ん か 感 じ 悪 ー い 。




そう噂されることも、充分知ってる。


でも、私には最強の味方がいる。
人生の、味方がいる。


あなたがいれば構わない

そう思えるほどの、大切な存在がいる




"今から帰るね"


"お疲れ様！気をつけて帰ってきて"



朝、駅のホームで約束した連絡を交わし、
朝来た道を、逆戻りする。



夜の街は、治安が悪い。


少し前の私なら、自分を下げる噂に怯えて、
行きたくもない飲み会に参加していたのにな。





数年前


私を変えてしまった "誰かさん"のせいで。



私は 愛 を覚えてしまったのだ。



生ぬるい夜の風が、私の心を湿らす。


小さな暖かな灯りが見えて、私の心はさらに潤う。





『ただいま』




大好きな、大好きな


私の、 彼。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す