あなただから。【青】

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『明日で卒業か〜！！』




"そしたらこの街ともお別れなんだね"





まだ肌寒い3月、君は変わらず幼なじみとして
僕の隣でそう言い放った。





｢そっか、お前一人暮らしするんだっけ｣





大きなマフラーが君の口元を隠した。
コートは要らないものの、防寒具は必須だった。





『ころんは…ずっと、この街で暮らしていくの？』





お互いの家が見え始めた交差点。




大した荷物も入っていないリュックがやけに重たく感じた。






｢僕は…｣






Aには夢があった。
その夢を叶えるためにはこの街から遠く離れた場所で
勉学に励まなければならなかった。




10年以上共にすごしてきた奴が急にいなくなるなんて、バカみたいじゃないか。




『ははっ！ころん泣きそうな顔〜！何、そんなに私がいなくなるの、寂しい？』




｢うるせぇ怪力ゴリラ｣





そうやって茶化すAも泣きそうじゃんか。





『私たちにはこういうしみじみとした話似合わないね、ほら、笑ってよ！』




春の香りを纏った桜が僕らを優しく見下ろした。





『ころんには立派な教師になってもらわないと困るんだからね！私の未来の子供の学力はあんたに任せてるんだから！』




…君の未来に、僕はいるのかな。





そんな事言わないでよ。行かないでよ。

A、僕、こんなにも好きなんだよ？





こうやって情けなくも女々しくなってしまうのは









"あなただから"

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