あなただから。【青】

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｢ころちゃん〜、俺、Aに告ろうと思うんやけど｣



無事に再び春を迎えて受験生にもなった僕らに恋愛など禁物だと思っていた。




何やかんだ3年間同じクラスの友人が急にそんなことを言うもんだから思いっきり吹き出してしまう。






｢は？あのばばぁに？！｣





話を聞けばもう今日の放課後実行する予定らしくて、
僕は授業もままならずソワソワしながら1日が終わるのを待った。







なんで、モヤモヤしてるんだ。





Aが誰と付き合おうと関係ないじゃないか。






なのに、友人と彼女が結ばれる未来は見たくないとか思ってしまう。




｢俺、言ってくる！｣




｢がんばって｣





1ミリも頑張れなんて思ってないよ。



大恥かいて失敗で終わればいいのに。








性格の悪い悪魔が消えてくれなかった。









後日、Aが友人を振ったことを知った。





モテるやつだったから断る理由なんてなかっただろうに。





｢なんか、昔からずっと好きな男の子がいるらしいで。元気で、アホみたいに煩くて｣





────────世界一、かっこいいんやって。







俺に勝ち目なんてないや






そう一言残して雑にスクバを背負った友人は教室を出ていく。





戸が閉まる寸前、友人は僕に言った。






｢ころん、がんばれ｣




「は！？」




この日、自覚せざるを得なかった。







僕はきっと、Aのことが幼なじみとしてではなく、恋愛感情、女の子として好きだったんだ。







友人の恋を素直に応援できないのも、
振ったことを知って酷く安堵しているのも、




こんなに胸をおかしくさせて自分を狂わすのも







全部全部、





"あなただから"

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