あなただから。【青】

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僕も大人になってきたのか、周りの目をさほど気にすることも無くなった。



というか、周りが僕らを気にするのをやめたみたいだ。






そんな中────────




いろんな恋愛関係が錯誤していく中で、
僕はとある女の子から恋のベクトルを向けられた。








"好きです"





見知らぬ後輩に突然言われた。






いや、お前誰だよ。






告白してきた可愛らしい女の子の姿を見ては知らず知らずのうちにAの姿を重ね合わせていた。









慣れないことがあるとそれは立て続けに起こるものなのだろうか。





珍しく部活終わり、Aが1人で昇降口に佇んでいた。





いつも友人と一緒にいた君とは打って変わって、なんだか急にか弱い女の子に見えてしまった。








話しかけるのも気まずくてスルーしようと思ったところカバンを掴まれた。








か弱い女の子？訂正する。



こいつは安定に怪力ゴリラだ。








『たまには一緒に帰ってくれてもよくない？』





｢…ぼっちが嫌なだけだろ｣



秋の寂しい風が僕らの間を吹き抜ける。



久々に話すもんだから話題なんて尽きない。
それに僕らももう子供じゃないし、それなりに年相応の話が出てくる。




『ころんって好きな子いるの？』





髪を耳にかけながらそう問いた君に不覚にも女を感じてしまう。



そんな顔で見つめてくんなよアホ。




一瞬の魔が差した。



僕だけこんな気持ちになるのずるいよ。








木々が揺れた。
不気味だ。寒気がする。やめてくれ。






｢…今日、めっちゃ可愛い後輩に告られた｣



『…え、…そっかぁ！』




いま、なんて思った？

ねぇ、教えてよ。









────────いいじゃん！良かったね！







｢……っあ、｣




そっか、そんなもんか。




Aの反応が見たくて。

なんか言わせてやりたくて。




……妬いて欲しくて。






誰にもこのことなんて言うつもり無かったのに
後先を考えず呟いたのは






"あなただから"

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