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たしぎside
『ッ！！…！！』
当たらない、当てられない。私の動きを全て見切っているようだ。木刀を片手に、鮮やか動きで避けていく。
部下たちとの手合わせの時もそうだった。無駄のない動き。只者じゃない。
──────旅人にしては、強すぎやしないか？
木刀を振りながら、少しずつ動きに焦りが出てくる。それを感じ取ったのか、彼女の雰囲気が少し変わった。
「焦りが出てます」
『！！』
「脇、開いてますよ」
『ッ、！』
ガッ、と、木刀同士がぶつかる音が響いた。
片手に持ったまま私の木刀を受け止めた彼女に思い切り弾かれ、体重が後ろに傾いた。まずい、と思ったがそのまま木刀の切っ先をお腹に押し付けられ、床に倒された。
尻もちをついて、思わず彼女を見上げる。フードで隠された顔。その隙間から、鈍く赤が光った。
「…、武器を使って負けたら、友人にどやされるので」
怪我は？と聞いて私に手を差し出す。なんとなく、気まずくなってその手を取ることができなかった。
「…大丈夫です、」と、自分でも驚くくらいに掠れた声が出た。
＊
──────悔しい。悔しい、
自室に戻り、ベッドに倒れ込む。何もやる気が起きなくて、腕を顔に押し付ける。
彼女は、恐らくだが私より歳下だ。身長も私より低い、歳も私より幼い。…同じ女でも、ここまで差が出るものなの？
ぐ、と唇を噛み締めながら一人考える。
圧倒的な差だった。私は彼女に一瞬ですら切っ先を触れさせることができず、対する彼女はたった二度、手を動かしただけで私を床に倒した。
本当に彼女は、海賊でも何でもない、ただの旅人だというのか？
ぐるぐると、言いようのない思いが私の心を侵食する。この感情は、嫉妬だ。海軍に入隊して、今まで何度も女だからとバカにされ続けてきた。
努力して、必死に努力してここまで来たのに、つい先日来たばかりの、海兵でもなんでもない女性に負けてしまうなんて。
たかが数分、されど数分。
私のプライドは、ぼろぼろに崩れ落ちた。彼女の手を取らなかったことも、私の醜い感情が現れてしまったから。彼女は何も悪くない。弱い私が悪いのだ。
もっと強ければ、惨めな思いをすることもない。
『…もっと、強くならなきゃ』
一筋涙を流して、気合を入れ直すために頬を叩いた。
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ゆあ(プロフ) - 続き書かれますか？主様のめっちゃ好きなので楽しみにしてますね (3月2日 14時) (
レス) @page50 id: 976091bd0a (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 名無し50398号さん» 少しずつ更新を再開していくつもりです…！好きと言って頂けるだけでも嬉しいのにすっごくだなんて…とても嬉しいです！頑張ります！！ありがとうございます！ (10月24日 21時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - セツさん» ありがとうございます！！ぜひドキドキしながらお待ちください！頑張ります (10月24日 21時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
名無し50398号(プロフ) - もう続きは書かないのでしょうか…すっごく好きな作品なので続きが楽しみです。更新、気長に待ちます！ (8月28日 1時) (レス) @page38 id: 73a8a7c4d7 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - ワンピースのキャラ達とも着実にフラグが立ちまくってるぅ‥‥‥。七海と灰原とも一体いつ会うのか、ドキドキしながら読ませてもらってます！更新気長に待ってますので、頑張ってください。 (6月30日 20時) (レス) @page38 id: a9c1286aea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちあき | 作成日時：2022年10月4日 18時
