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──────そういえば、彼の名前聞いていなかったな、と思いついた時には私に寝てろと言って出て行った人が戻ってきていた。

言われた通り食事をとり、横になってしばらく、薬の影響なのか襲ってきた眠気に抗うことなく目を閉じた私は、起きてすぐ、食後よりも威圧感の強い事情聴取を受けることになった。






「⋯名前と、年齢と、出身は」


『雅A、16歳。出身は日本の、東京都』


「二ホン⋯?」


『⋯極東の島国です』






日本という単語に不審そうに眉を顰めた。やっぱり“ここ”は私の知らない世界なんだ、と改めて感じた。

海に溺れていたということは能力者か?と聞かれたが、“能力者”が何のことかわからない。とりあえず否定しつつ、身体の言うことが効かなかっただけだ。と説明した。






──────なんとなく、“あちらの世界”のことについては話してはいけないような気がしたため、目線で訴えれば、諦めたように溜息を吐いて足を組み替えた。






「怪我はそこまでではないからすぐに治るだろう。熱は⋯だいぶ下がったな。

とりあえず今日一日は絶対安静だ。その後は───」






そこまで言ってから顎に手を置いて考え込んだ。それに合わせて『しばらくここに置いてくれ』と声を発していた。


一瞬目を見開いた彼を見て、もちろん島に着くまで、と付け足した。

ここが船の上であることはほぼ確定。流石に海の上で生き残る術は持っていない。彼らにとっては嫌だろうが、今の私にはここしか頼れるところがない。






「患者である以上完治するまでは意地でもここにいてもらうが、⋯女であろうと使えねェ奴は乗せねぇぞ」


『⋯家事はある程度できます。私を着替えさせてくれたのならわかってはいると思いますが、戦闘においても足は引っ張らないかと。

後はまぁ⋯』






⋯⋯これは、言ってもいいのだろうか。“あちら”について直接的に言及するわけではないから大丈夫かな、と結論付け、『⋯お祓い、ですかね』と言った。

⋯うん。私も何言ってるんだって思ってる。初耳の人からしたらこいつ頭大丈夫かと思われてもまぁ仕方ない。






元からだいぶ怖い顔をしていた彼の顔が更に強張った。






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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時

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