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ペンギンside






──────なんなんだ、この女






キャプテンがキッチンにやってきて、女が目を覚ましたから何か食えるもんを持っていけ、という言葉に従い医務室で彼女の食事を済ませた。

俺としては、彼女の本性が少しでも垣間見ることができれば上々だと思った。


なのに、なのになんだこれは?まるで俺が尋問でも受けているような気分だ。






「──そこまでして疑っていたのなら、なぜ?」


『───ッ』






最初に顔を見たときには閉じられていた赤い瞳が俺を射抜く。

口にはされていないが、「逃がさない」とでも言いたげな雰囲気を感じる。⋯いや本当に立場逆じゃんか。どくり、と心臓が嫌な音を立てた。






『⋯キャプテンは、医者だから。命の重さも、尊さも、一番わかってる。⋯⋯それに、従っただけだ』


「⋯そう、ですか」






そう呟いた彼女の声色に納得の感情は見えなかった。俺だってこれが彼女の求めていた答えじゃないことなんてわかっている。もちろん嘘ではない。

キャプテンは自分が“そう”だったからこそ、「拾ってこい」なんて命令をしたんだ。






「⋯⋯⋯貴方、私の身体──お腹だけですけど、見ちゃったんですから、そのお詫びに少しくらい本音を言ってもいいのでは?」


『う゛⋯それ言われるとさ⋯⋯』






話題に出さないようにしていたが、不可抗力とは言え彼女の身体を見てしまったわけで───いや別に、島の娼館とかで女の身体なんて見ているが───それとこれとはわけが違うから罪悪感がないわけではない。

少しの沈黙の後、一度も俺から目を逸らさずに見つめてくる赤から顔を背け───






『なんとなく、アンタを助けなかったら、⋯一生後悔する、って思って』






我ながら矛盾していると思う。何なら疑う気持ちとは裏腹に、“見捨てる”という選択があの時の自分の中に一切なかったことに驚いてもいる。

その矛盾にも気づいたのか、彼女は俺が医務室に入ってから一度も崩さなかった表情筋を緩めて、ふふ、と緩やかに、穏やかに微笑んだ。






『ッ、!?』


「ッ、ふふ、そうですか。⋯ごっちゃになってますね、“それ”」


『〜〜ッ⋯悪いか』


「いいえ。⋯改めて、ありがとうございます」






何度目かのお礼にしっかりしているな、と目を細め、今度こそ医務室から出ていった。






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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時

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