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どうやらあの後眠ってしまったようだ。シャチさんの腕に抱えられて、船内を歩いている。
もぞ、と身じろぐと、「おーおー随分お元気なようで」と私を落とさないように抱え直した。布団とは違う、人の温かさを感じる。
「話してたら頭が揺れ始めてさ、しばらくしたらガチで寝始めたからビビったわ」
『ぁ、左様で⋯すみません、』
「いやいいよ。部屋連れてこうと思ってたけど、どうする?」
あー⋯とまだ少しぽやぽやした頭で考える。
午後は結局動いていないし、お腹も空いていない。部屋に行く───今日からイッカクさんのところだ───と言い、降ろしてくれと声をかけた。
が、彼の歩みは止まらず、私を降ろすことなく進んで行く。
「いや、どうせイッカクの部屋わかんないだろ。それに女に触んの久しぶりだから離したくねェ。
⋯⋯⋯柔らけェな」
『失礼ですよ、セクハラ』
「ははは、」
乾いた笑いを零しながらもむにむにと私の足を揉むシャチさん。何言っても無駄だと判断した私は、諦めて身体を預け、部屋まで送ってもらった。
*
夜はイッカクさんと女子トークをし、一週間が経つ頃にはそこそこ船に馴染み始めていた。
もちろん船長さんからやペンギンさんの信用が得られたわけではないが、初日や二日目辺りと比べるとだいぶ打ち解けてきた気がする。
特に敵襲もなく、雑用をこなしながらも比較的平和に過ごしていた。
ずっと故郷にいたからとか適当な理由をつけて、“大海賊時代”、“海賊”、“海軍”等々、“ここ”での常識を色々と教えてもらった。
──────ベポくん、どこだろう。
ここ数日で仲良くなった航海士のベポくんを探して船内を歩いていた。雑用を始めたあの日からずっと気になっていた白熊。どうやら“ミンク族”という種族らしい。お願いしたら快く了承してくれたのでもふらせてもらったこともある。
⋯とても気持ち良かったし、彼も「Aの撫で方気持ちいい!」とお墨付きももらった。
それがお気に召したのかはわからないが、不思議と懐かれた。昨日は一緒にお風呂に入って洗ってあげたらそれを聞いたらしいシャチさんが「俺も俺も!」と声を上げたが、船長さんにぶった斬られて阻止されていた。
セクハラです。
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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時