【歌い手】なんで、どうして裏切ったの？【浦島坂田船】

第33話 ページ35

『あ、さっきはどうもありがとう…』


う「…そりゃ、あんな暗い路地裏につったってんだもん」


『はははっ、…』


…………


何このぎこちない会話の仕方…


きっ、気まずい…。


う「…あいつと友達なんだ」


『え？…うっ、うん、友達だよ』


う「…なんか妬ける」


………


『は？』


う「は？」


あ、つい声出てしまった…!


私は手を口元に当て、『ごめん』と言った。


でも、何 “ 妬ける ” って！？


う「最近ずっとあの人といるし、…おっ、俺の方がずっと…お前の…」


『……』


私は口を開けたまま、渉の顔を見ていた。


う「っ！あんま見んな…」


渉は顔を真っ赤にし、顔を手で隠した。


『…じゃあなんで、私のこと避けてたの』


う「…それは、本当にごめん。俺達みんな反省してる、また前みたいに楽しくいたい。Aと」


でも、周りからは私…。


楽しくなんて、もう…


できないよ…。


『…渉、もう帰って』


う「え、なんでだよ」


『いいから早く！…』


う「…わかった」


渉は私に背を向け、歩いて行った。



『…、』


これでいいんでしょ、


私が関わらなければ、辛い思いしなくていいんだもん。


これで、もう…


楽になる…


楽、に…。


『なるんだよ……』



誰もいない廊下で、私は涙を流した。


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