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夢かと思った。

俺とよく似たやつと人間に生まれてきて、現代を生きて、そこには鬼も鬼殺隊もいない世界で、そして前世から想い焦がれてきた人に出会った。




「猗窩座さん」




俺を呼ぶ声は前世とあまり変わらなくて、でも少し大人びてるように聞こえて。

俺とこの人は今度こそ結ばれるのではないかと期待していた。

本当に自分は馬鹿みたいだ。

俺は自分が罪人だと言うことも忘れていた。





「結婚することになったんだ、俺達」





彼女は俺以外と結婚して。

俺は溢れてきそうになる涙を必死で堪えて祝った。

同時に、少しでも淡い期待を抱いていた自身に恥ずかしくなった。





「狛治さん」



恋雪が狛治と呼ぶと昔を思い出させる。





『私と夫婦になってくれませんか』
『私は狛治さんがいいんです』




嗚呼、そうか。

神は決して俺をタダで人間にした訳ではない。

これは罰なんだ。





『狛治さんありがとう もう充分です』




俺は狛治じゃないんだ。

俺は、猗窩座でしかないのだ。

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作者名:山口 | 作成日時:2020年12月6日 9時

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