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絨毯に身を任せて ページ31

空いていた左手で、ポケットからスマホを出し

ライトで部屋を照らした。

すると、僕の腕を引いていたものの正体も分かるわけで


「_♪_♪」


『魔法の絨毯…』


僕たちが飛び込んだのは、先日カリム先輩に見せてもらった宝物庫だった。

鍵もかけないのはどうかと思うけど

これは、好機かもしれない。

僕はともかく、グリムだけは…

僕の心が完全に死なないうちに、逃がしてあげないと。


『お願い。ここから出してあげるから

僕たちを寮の外まで連れ出してほしい。』


「_♪」


『…いいって、言ってるのかな。わからないけど。』


グリム「ナイスアイデアなんだゾ!

よっしゃ、魔法の絨毯に乗り込め〜!」


グリムに手を引かれ、魔法の絨毯に飛び乗ると

すぐさま宝物庫を飛び出し、遥か上空へと飛びあがっていった。

怖い、けど…今はそんなこと言ってられない。


グリム「すっごいんだゾ〜!」


『でも…これ、どうやって操縦するの…』


グリム「操縦…?えーっと…カリムは隅っこについてるフサを

掴んで引っ張ってたような…」


『え、一寸何して…』


グリム「えいやッ!」


グリムが思い切り絨毯の飾りを引っ張ると

それに驚いたのか、絨毯が予測不可能な動きをしながら暴走し始めた。

落ちないように絨毯にしっかり掴まり、グリムを強く抱き抱えた。

そして、縦横無尽に動き回った魔法の絨毯は

スカラビアの入口である、鏡に突っ込んでいった。


グリム「ふなぁぁ!?」


思わず眼を瞑る。

そしてそのまま鏡に突っ込んだ僕たちは

少し間が開いた後、何かに激突してその勢いはようやく止まった。


身体に強い痛みが走る。

痛覚がはっきりしてるってことは、多分死んでないけど

ここは、どこだ。


『グリム…大丈夫…』


グリム「ふなぁ…め、眼が…」


『ここ…どこだろう…』


立ち上がり、辺りを見渡していると

どこかからスイッチのような音がして

部屋が一気に照らされた。

一瞬眩しさに眼が眩み、ゆっくりと瞼を持ち上げると

そこに広がる景色は、つい先日まで勝負していた相手が経営する施設。


『モストロ・ラウンジ…?』


僕たちが激突したのは、ここにある備品の一つだったようだ。

その音を聞きつけ、こっちに走ってくる足音がする。

弁償、できるかな…


ジェイド「…おや、こんな深夜にどんなお客様がいらっしゃったのかと思えば。」


フロイド「食べ物盗みに来た泥棒かと思ったのに…

小エビちゃんとアザラシちゃんか〜…なーんだ、つまんねぇの。」


彼らの顔を見て、こんなに安心する日が来るとは思わなかった。

切望→←逃走劇の幕開け



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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………!更新楽しみにしてます! (2022年9月24日 18時) (レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か???好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ! (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……! (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/  
作成日時:2021年8月1日 22時

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