豹変する商人 ページ16
カリム先輩に言われた通り、一足先に談話室に向かうと
そこには、もうすでにほとんどの寮生が集まっていた。
そうか、皆明日には実家に帰るのか。
グリム「ここはさっむいオンボロ寮と違って
暖かくて、楽園みたいなんだゾ〜」
『カリム先輩もいい人だし…
これまでの寮も…好き、だけど。
楽しいね、ここは。』
それから、グリムや他の寮生と話すこと数分。
用事を終えたであろうジャミル先輩とカリム先輩が
談話室にやってきた。
カリム先輩がやけに静かなのが気になるけど
突然考えを逆転させて、寮生に発表するんだ。
あの人でも、緊張するんだな。
ジャミル「みんな揃ってるな？
夕食の前に、寮長から寮生全員に話があるそうだ。」
「寮長から話…ですか？」
ホリデーに入る前の件もあって、寮生からは警戒心を感じる。
それは杞憂に終わるのに、なんて
僕とグリムだけが余裕綽々でいられたのは
次のカリム先輩の言葉を聞くまでだった。
カリム「…この冬休み、俺達スカラビアは自主的に寮に残り
毎日6時間自習をすると決定したが…俺は気づいた。
それじゃ、全然生ぬるい！！」
『…ッ！？』
豹変。
さっきまでの、優しげな声を
強く怒りの籠った声に変え
談話室にいる寮生全員を睨みつけた。
あれ、この感じ…どこかで…
ジャミル「なっ…カリム、寮生を家に帰すと決めたんじゃ…！？」
グリム「アイツ、さっきと言ってることが全然違うんだゾ！？」
カリム「1日たった6時間で、他寮にとった遅れが挽回できるはずがない。
他寮の2倍、いや…5倍の努力をしなければ
成績最下位寮の汚名を雪げないと思え！」
＿お前のような才能も何もない人間が
兄と同じだけの練習をしたところで、及第点にも及ばない。
カリム「明日からは毎日5時間の勉強と
4時間の実技訓練を全員の義務とする！」
＿今日の課題分が終わるまで
決して部屋から出てこないように。わかったな。
『あ…』
ここでできた楽しい思い出とか、そういうの
全部吹き飛ばすくらいの、負の記憶。
一切の善の感情を見せず、ただただ僕を軽蔑していたあの人の視線。
それを、嫌でも思い出させるカリム先輩の言葉。
僕の好きなものなんて、あの人は…
『……』
カリム「スカラビアに来たからには
Aとグリムも強制参加だ！いいな！」
グリム「えぇッ！？何で俺様達まで！？」
『…はい、わか、りました。』
グリム「A…？」
ジャミル「……」
逆らっちゃダメだ。逆らっちゃダメだ。
何を犠牲にしたって、僕はあの人の人形にならないと。
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………！更新楽しみにしてます！ (2022年9月24日 18時) (
レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か？？？好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ！ (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天空の巫女 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時：2021年8月1日 22時
