その監督生、よく落ちる。2【ツイステ】 (ページ9)

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暗闇が晴れるページ9

「どうしてこんなこともできないんだ。もう一度。」

『…はい。』

記憶に残っている父の顔は、いつだって厳しい表情だった。

別の表情をしていたこともある。

笑顔だったことも、満足気だったことだってある。

だけどそれは

「よくやった。お前はやはり俺の最高の息子だ。」

「うん！ありがとう、父さん！」

僕に向けられることはなかった。

父の関心も、称賛も、評価も

何もかも、僕は兄に奪われた。

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『…ん…ここは…？』

次に視界に飛び込んできたのは、白い天井。

少し鼻につく薬品の匂いからするに、ここはきっと保健室か何かだろう。

それに何か手に違和感がある。

まるで、誰かに手を握られているような…

リドル「………すぅ…」

手元に視線を向けると、ベッドで横たわる僕の手を握りながら

規則正しい寝息を立てながら眠るローズハート先輩がいた。

いったいどのくらいの時間が経っているんだろう。

今回の夢は、短かった気がするけど。

『…よかった。傷一つなさそうだ。』

握られている手に少し力を込めると

眠りが浅かったのか、ローズハート先輩がゆっくりと目を覚ました。

リドル「…僕…寝てしまっていたのか…」

『おはようございます、ローズハート先輩。』

リドル「…！体は！？もう大丈夫なのかい！？」

『…っは、はい…大丈夫です。

ローズハート先輩こそ…』

リドル「僕は大丈夫。先生にも何も異常はないと言われたよ。

それよりも…」

ローズハート先輩は相当僕を心配していたらしいけど

僕は安堵の方が勝っていた。

僕のことなど気にしなくていいのに、変な人だ。

リドル「…僕にタルトを渡してすぐに君は倒れたんだ。

それから、トレイに君をここまで運んでもらって…」

『なるほど…じゃあ、ローズハート先輩はどうしてここに…』

リドル「…君に、お礼を言おうと思って。

起きるまで待っていようとしたら、君が魘されていたから

思わず手を…って…す、すまない！…った…！？」

繋がれたままの手を見て、顔を赤らめたローズハート先輩は

勢いのままに僕から離れて、保健室の壁に激突していた。

病み上がりなのに、心配になる。

『だ、大丈夫ですか…お礼って…？』

リドル「問題ないよ。大丈夫。

…僕、オーバーブロットした後

君に触れられて…それから、夢を見ていたんだ。

昔の、お母様の夢を見てた。

苦しかった…後悔に押しつぶされそうだった。

そんな時に聞こえたんだ。

君の声が。」