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騎士に捕らわれる ページ44

エース「ってことで、今夜も泊めてねA。

あ、今日はお前がベッドな。」


『えぇ…別にいいのに。

デュースはどうする?僕はどっちでもいいけど。』


デュース「それじゃあ、僕も泊まらせてもらおう。」


『あ、そうだ…帰る前に購買部に…』


雑談をしながら図書室を出ようと歩を進めると同時に

何者かによって、僕の腕が掴まれた。

そんなの、思い当たるのは一人しかいないが。


『…何でしょうか、トレイ先輩。』


トレイ「少し話したい。…いいか。」


『…エース、デュース。グリム連れて先に帰ってて。』


エース「おー…うん、わかった。」


デュース「また後でな、A。」


グリム「帰りに俺様のツナ缶買ってくるんだぞ!」


『ふふっ…はいはい。』


二人と一匹を見送ってから、流石に図書館で話すのはあれなので

中庭へと場所を変えた。

日が落ちてきて、身を震わせる肌寒い風が心地よい。


『それで、お話って何でしょうか。』


トレイ「…俺は、お前が少し気に入ってた。」


『はぁ…ありがとうございます。』


トレイ「それは、お前がリドルを気にかけてくれたから…

大して話したこともないリドルのことを悪く言ったやつらに制裁するほど

良い奴だと、リドルに良くしてくれるやつだと思ったからだ。」


『ねぇ、トレイ先輩。

僕、「良い奴」って言葉ほど酷い言葉は無いと思うんです。』


トレイ「……」


トレイ先輩の静かな視線は、微かに迷いを含んでいた。

己の感情がわからないのだろう。普段の僕と同じだ。

でも、何故だろう。

ローズハート先輩を追い詰めてから、自分の中が凄く静かだ。


『だって、それって「自分にとって都合のいい奴」っていう意味でしょう?

褒めてるふりして、自分に対する利害しか見ていない。

惨い、酷い言葉。』


トレイ「…違う…俺は…」


『何が違うんですか?

トレイ先輩は、僕がローズハート先輩にとって都合のいい奴だったから…

だから、気に入ってったって…そう言いましたよね。』


トレイ「……お前は、何なんだ。」


『…ごめんなさい、トレイ先輩。

僕はあなたの思っているような人じゃないんです。』


少し離れていたトレイ先輩との距離を詰めて、視線を合わせた。

最近忘れがちだったけど、意識して。

人と話すときは、笑顔で。


『悪いけど、僕は善人じゃない。

人を想うだとか…そういうの、クソ食らえだよ。』


それだけ言って、トレイ先輩の言葉を待たずに

中庭を離れオンボロ寮への帰路に着いた。

あ、購買部寄らないと。

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れぃと(プロフ) - 続編移行の部屋がめっちゃ好きッスわwww (2021年8月2日 3時) (レス) id: 40283c6b11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/  
作成日時:2020年12月30日 22時

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