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強者嫌い ページ36

パーティが始まってから、赤髪さんが1人になる時間が出来た。

今が好機と捉えたらしいエースは、タルトを持って寮長さんの元へ向かった。


エース「あの〜寮長。」


リドル「君は…あぁ、タルト泥棒の1年生か。」


エース「え〜っと、タルトを食べちゃったことを謝りたくて。

新しくタルトを焼いてきたんですけど…」


リドル「へぇ…一応聞くけど、なんのタルトを?」


エース「よくぞ聞いてくれました!

旬の栗をたっぷり使ったマロンタルトです!」


リドル「…マロンタルト…だって…!?」


赤髪さんの顔が強ばった。

それと同時に、先程まで和気藹々としていたパーティの空気が凍りついた。

これは…かなりまずい。


リドル「ハートの女王の法律・第562条。

『『何でもない日』のパーティにマロンタルトを持ち込むべからず。』

これは重大な法律違反だ!

完璧な『何でもない日』が台無しだ!

なんてことをしてくれたんだ。」


『ご、562条って…』


ケイト「ちょ、トレイくん…知ってた?」


トレイ「俺が暗記できてたのは第350条までだ。

まさか、タルトの種類まで厳格に決められていたなんて…」


どうやら、先輩たちも知らなかったようだ。

それもそうだろう。この人たちは善人では無いが

かといって完全な悪人でもない。

エースを助けようとしたはずなんだ。


エース「っ…マジか…」


エースだって、謝るなんて絶対不服だったはずなのに

ここまで頑張って、魔法が使えないのにあんな大きなタルトを作って


デュース「562条…そんな…」


デュースも、別に彼は何も悪くないのに

エースの為とは言えないかもしれないけど

あんな大変なことを手伝って


トレイ「すみません寮長。

マロンタルトを作ろうと言ったのは俺です。」


それなのに


ケイト「そうそう!まさかそんな法律があったなんて知らなかったんだよ〜!」


頑張ったのに


リドル「作ったことが問題なんじゃない。

今、この場に持ち込んだこと"だけ"が問題なんだ!

今すぐそのタルトを破棄しろ、そいつらをつまみ出せ!」


強い人は、いつだって弱者の努力を踏み潰す。

道端に生える小さな花を潰すように

なんでもなく、簡単に。


『……さい。』


ケイト「…Aちゃん…?」


ケイト先輩の声も無視して、脳は勝手に前へ進めと命令する。

赤髪さんに手が届く距離に至ったところで

僕の手は、赤髪さんの胸ぐらを掴んでいた。


『うるさい…僕は、お前みたいなやつが大っ嫌いなんだよ!!』

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れぃと(プロフ) - 続編移行の部屋がめっちゃ好きッスわwww (2021年8月2日 3時) (レス) id: 40283c6b11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/  
作成日時:2020年12月30日 22時

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