検索窓
今日:14 hit、昨日:5 hit、合計:11,847 hit

Storage*38 ページ39

side on soraru...


――どれほどの間、そうしていたのだろう。

ベッドの真横で、立ち尽くしたまま。
そのままでしばらく経っていた。



そんな時

ふわり、と。
力が抜けたのか、へたりこんでしまいそうになるA。

その細い体を、間一髪のところで抱き留めた。


――ベッドに運べばよかった?
――医者を呼べばよかった?

分からない。
どれが最善策か、だなんてことは。

ただ1つ分かることといえば――


「――A、?」


微かな呼吸の音とか、端整な人工物(ツクリモノ)のように白い肌とか――

――そういった、Aの全てが消えてしまいそうに儚げだということ。


「(うそ、だろ)」


まさか、こんな時に。

こんなタイミングで"視て"しまうだなんて、と。
ショックだったからって、そんな。配慮不足か?


心底そう思った――だが。

もっとも。
彼女が"こう"なる時は大概、今と同じような境遇の時なのだった。


「(……どうしよう)」


にしても、本当に消えてしまいそう。

美人薄命。
どこか苦しげに眉をひそめ、俺の腕の中で眠ったように動かないAを見て、ふとそんな言葉を思い出した。


「――……やだ」


自分でもありえないくらい、情けない掠れた声が漏れた。

嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ。


薄命、とか。
それって、すぐにしんじゃうってことでしょ?長生き出来ないって意味でしょ?

Aは薄くなんかない。
ちゃんと、今


「(ここに、いるでしょ)」


頭では分かっているのに、何故だろうか――考え出してからずっと、温かい雫が頬を伝うのをやめてくれない。

女々しいなあ。
そう思って拭ってみても、また。





すぐに、溢れだしてくるのだ。

Storage*39→←Storage*37



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
35人がお気に入り
設定タグ:そ.ら.る , 恋愛 , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

宇宙音(プロフ) - 裏音さん» わわわありがとうございます!!楽しんでいただけるようなものを目指して準備してますです!(?) (2015年3月14日 23時) (レス) id: c19bdcd8dd (このIDを非表示/違反報告)
裏音 - 完結おめでとうございます!前作から全て読みました!すごく面白いと思います!続編、楽しみにしていますね( ´∀`*)ゞ (2015年3月14日 17時) (レス) id: b03c2882f6 (このIDを非表示/違反報告)
宇宙音(プロフ) - まひめさん» 感動するだなんてお言葉、恐縮です……!!応援ありがとうございます!! (2015年1月24日 0時) (レス) id: c19bdcd8dd (このIDを非表示/違反報告)
まひめ - すごくいい小説ですね…!!感動します。更新頑張ってください! (2015年1月20日 20時) (レス) id: 20c20fcea2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:宇宙音@千歳 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sorane9132/  
作成日時:2014年7月25日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。