Storage*34 ページ35
side on Chitose...
いつかと同じ、真っ白な空間と気持ちの悪い浮游感。
あぁ、またこれか。
あれから既に、幾度か経験したこの症状には若干の慣れを覚えつつある――それは"また"と言えるほどに。
……どうしたってこの、酔ったような気分の悪さには慣れられそうもないが。
(今度は、なんだろう)
何が視えるのかな。現実では確か、抱き締められていたはずなのだが。
などと思慮を巡らせていると、そのままぼんやりとした景色がうっすら浮かび上がってきた。
……やっぱり、慣れてきたな。
最初の方こそ耐えられなかったこの不快感も、今では以前よりか落ち着いた心理状態で迎えることが出来る。
たぶん、そろそろ音声が――
『……て』
『……そ……しょ!そ……に……!』
『……ない……か……』
修羅場
結構久し振りのそれには、少し驚いた。
なにせ普段の日常生活ではそうそう体験するものではないし、とにかく迫力が異様に強い。
……あまり、好きじゃない。
『だから違うって……!』
『嘘!!それならなんであんなっ』
(……あれ、これって……)
……なんだろう
なんとなくだけど
(……最初のと、似てるかも)
ひどく真剣で、それでいて今にも泣き出してしまいそうな表情をしている――昔の私。
そしてどことなく狼狽した様子で、必死に弁解しようとする――昔の亮さん。
視れば視るほど影形が重なって視えてきてしまうのは偶然か、必然的なことなのか。
瞬時に分析、理解することは到底かなわなさそうだ。
『だからそれは誤解で……っ』
『誤解なんかじゃないでしょ!?』
クリアになってきた音声や視界。
これまで霧がかかったようにぼやけて不明瞭であったそれは、もうはっきりと認識できるほどになっている。
迫真の表情で思いをぶつける2人だが、どうしたってこれはただの喧嘩に見えるものではなかった。
『……いいよ、別に。私なんかよりいい子いっぱいいるもんね!?そらるモテるから!こんななら……っこんなんなら別れた方が――っ』
早口でまくしたてていた少女の声が止み、静寂が訪れる――最後に聴こえたのは、小さく息をのむ音。
――少年は少女を、きつくきつく抱き締めていたのだった。
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宇宙音(プロフ) - 裏音さん» わわわありがとうございます!!楽しんでいただけるようなものを目指して準備してますです!(?) (2015年3月14日 23時) (レス) id: c19bdcd8dd (このIDを非表示/違反報告)
裏音 - 完結おめでとうございます!前作から全て読みました!すごく面白いと思います!続編、楽しみにしていますね( ´∀`*)ゞ (2015年3月14日 17時) (レス) id: b03c2882f6 (このIDを非表示/違反報告)
宇宙音(プロフ) - まひめさん» 感動するだなんてお言葉、恐縮です……!!応援ありがとうございます!! (2015年1月24日 0時) (レス) id: c19bdcd8dd (このIDを非表示/違反報告)
まひめ - すごくいい小説ですね…!!感動します。更新頑張ってください! (2015年1月20日 20時) (レス) id: 20c20fcea2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宇宙音@千歳 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sorane9132/
作成日時:2014年7月25日 16時