【そ.ら.る】Heart to each other echoed - Sound overlapping -

Storage＊33 ページ34

side on Soraru...


何故だろうか、抑えきれなかった衝動だけで抱き着いたはずなのに。

――不思議と、後悔の責は感じられない。

ただ離したくなかった。
今手を離してしまえば――また、離ればなれになってしまいそうで。そして今離れてしまったら、もう二度とこうしていられなくなってしまいそうで。

どうしようもなく溢れ出す不安感。
独りじゃこれを消せなくて、今はただ

――君に、隣にいてほしかった。

それだけ心細かったんだ。Aがいない日常にも限界が来ていたのかもしれない。
不謹慎なことだとは分かっている。それでもそう思うことはやめられないようで。

こんな形でとはいえ、こうして彼女を俺の腕に収められていることに喜びを抱きつつもあるのだ。


(……好きだ)


この想いは背徳か、はたまた道徳的な観点から見ても平常なのか。

どうも理解しかねるが、俺としては別に悪いことをしているという気には到底なれない。


(……A以外、考えられない)


この４年間、唯の１日足りとも彼女のことを忘れたことはない。
それほどまでに彼女の存在は、俺の中で大きなものであったのだ。

好き
愛している

そんな気持ちが溢れ出して止まらない。


(……気持ち悪いなぁ。俺)


いつだったか、こんな境遇にあった時期があったような気がする。

そう、確か


「――あの時か」


お世辞にも"年相応"とは言えないような、いやに大人びたクソガキだった中学生時代。
Aへの気持ちに気が付いてからずっと、こんなことを考えてしまう時期があった。
懐かしいな。
思えば俺も、もうそんな年になったのか。

……いつまでもAに固執してないで、そろそろ先へと進むべきなのだろうか。

だけど


(……諦められる訳、ないだろ)


しっかりと抱かれた彼女の顔を見て再認識する。



――どうしようもないくらいにAが好きだ。

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