Storage*21 ページ22
―――目の前が真っ白。
何故だろうか、正体不明の浮遊感が感じられる。
にもかかわらず温度はまったく感じられない。
「――――――」
「――――」
何かが聞こえる、ちなみに方向は特定出来ない。
うっすらと霧が晴れるかのように、目の前に風景が見えてきた。おそらくこれは、夕日の差し込む教室。
もう少し白みが薄れる、人が立っているのか?
2本の棒のようなものが浮かび上がって、影になってる…―――
「―――…い、なん…と…は…………っつき…の…」
「……はっ………て…」
「……ない!…こと……わな…で」
なんだろう、喧嘩かな。それとも修羅場ってヤツだろうか。
男の子と女の子の声が聞こえてくる、多分高校生くらいに感じられる。
まだまだ言い合いはヒートアップしていく、それにまた映像がクリアになって…―――
「――――放っとけるわけないだろ!」
刹那、全てがハッキリした。
濡れたように艶やかな黒髪の背の高い男の子が、色素の薄い茶髪っぽい女の子を強くその胸におさめている様子。
だけど
その声も、姿も、全部、見覚え・聞き覚えのあるものだった。
「…離してよ…好きでも無いのにこんな―――」
「好きじゃなかったら、やんない。――……好き。」
「え…っ」
「好き、ずっと昔から大好きだった。全然気付かないから………A。」
え。
思わずそう漏らしそうになった。
砂糖の塊をそのまま舐めているような甘ったるい言葉の数々、その主はつい先程私を抱き留めてくれた彼で。
しかも彼が抱きすくめているのは、他でもない私。
最後に名前まで呼んでいたのだ、確実性が高いといったらありやしない。
でも、これ、どういうこと?
妄想?いや、違うだろう。
妄想するにしても動機がないのだ、それにそもそもあの時感じた耐えがたい痛みはどうなるんだって。
仮に言葉にするとしたら、"白昼夢"といったところなのだろうか。
「……こんな風に言いたくなかった、けど……。……俺と付き合って。」
聞いたことも無いような甘い声で、そう囁いた彼。
その腕の中におさめられている少女は―――
顔を真っ赤に染めながら、小さく頷いた。
――――謎の浮遊感と眩しさが、消えた。
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宇宙音(プロフ) - 裏音さん» わわわありがとうございます!!楽しんでいただけるようなものを目指して準備してますです!(?) (2015年3月14日 23時) (レス) id: c19bdcd8dd (このIDを非表示/違反報告)
裏音 - 完結おめでとうございます!前作から全て読みました!すごく面白いと思います!続編、楽しみにしていますね( ´∀`*)ゞ (2015年3月14日 17時) (レス) id: b03c2882f6 (このIDを非表示/違反報告)
宇宙音(プロフ) - まひめさん» 感動するだなんてお言葉、恐縮です……!!応援ありがとうございます!! (2015年1月24日 0時) (レス) id: c19bdcd8dd (このIDを非表示/違反報告)
まひめ - すごくいい小説ですね…!!感動します。更新頑張ってください! (2015年1月20日 20時) (レス) id: 20c20fcea2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宇宙音@千歳 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sorane9132/
作成日時:2014年7月25日 16時