奇跡の少女

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5位発進となったわたしは今日も絶好調ぶりをアピールし、奈々美先生に提案をする。





しかし今回のわたしの提案にはさすがの奈々美先生も目が点になるくらい驚いた。




A「先生？トリプルアクセル後半に入れてもいい？」



奈々美「え？本気で言ってる？」




未だに嘘だと思っているのか奈々美先生は何度も聞き返してくる。





A「うん。」



わたしはうんと返事をすると、反対意見は聞かないと言うように、リンクの壁を押し、もう一度練習に戻る。





奈々美先生は少し諦め顔になってやれやれというように、そのままわたしの練習を見守っていた。









20番 佐藤Aさん 宮城FSC




肩を小さくまわし深呼吸してからスタートポジションについた。


3A＋3T


荒川「トリプルアクセル、トリプルトーループ。余裕がありますね。」


3Lz＋3Lo


荒川「トリプルルッツ、トリプルループ！素晴らしいですね。」


実況「最高難度のプログラムを楽々とこなしていきます。」


足換えのコンビネーションスピン


3T

ストレートラインステップ


フライングキャメルスピン


コレオステップシークエンス

荒川「ステップが１つ増えているのにも関わらず、違和感を全く感じさせないというのが彼女の素晴らしいところですね。」



3A


荒川「トリプルアクセル！！」


実況「後半になって2本目のトリプルアクセルを入れてきました！驚異の13歳、佐藤A…」


3S

荒川「トリプルサルコウも綺麗に決まっています。」


実況「本人は苦手と話していますが、確率は上がってきているこのトリプルサルコウ。」


3F＋2T＋2T


2A


実況「全て降りた！」


レイバックスピン

荒川「回転の速さ、素晴らしいですね。」








演技が終わると大きな歓声がわたしを包み、飛び跳ねてガッツポーズをする。



実況「佐藤A！渾身のガッツポーズ！無限の可能性を秘めた13歳！日本だけでなく、世界に衝撃を与える素晴らしいフリースケーティング！」


荒川「将来、確実に世界を引っ張っていく選手になると思います。この信じられないような構成を滑りきることができるのは世界で彼女だけだと思います。」

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