義勇さん好きもっと集まれ！義勇さん短編集〜 第２弾

甘えられてみたら… ページ37

―(名前)side―

何日もかけて任務を終えた。

正直、体は疲れきっている。

今は、不死川さんと共に屋敷へと戻っている途中だ。

もう日はすっかり落ちきっていて、

寒月が私たちを見下ろしている。

(名前)「傷、痛くないんですか。」

稀血を利用して鬼を斬る不死川さんだが、

やっぱり見た感じは痛々しい。

不死川「あァ？痛いのを理由に鬼斬らねェなんてふざけてんだろ。

　 別にいい、気にすんな。もうこの痛みには慣れちまった。」

それ以上、何も言えないくなった私の

髪をガシガシと少し荒々しく撫でる不死川さん。

(名前)「あ、あの…不死川さん！私、子供じゃないです。」

撫でる手が止まらないから、少しムっとした。

不死川「…おォ、すまねェ。」

確か不死川さんって弟さんがいたんだっけ。

本人の前では、絶対に言うなって

しのぶちゃんには言われてるから言いはしないけど、

やっぱり弟さんのこと気になるのかもしれないし

お兄ちゃんって感じがするな…。

自分にはいなかった兄弟姉妹を羨ましく感じた。


(名前)「じゃあ不死川さん、私はここで。

　 任務お互いにお疲れ様でした！」

頭を小さく下げてみせる。

不死川「お前もしっかり休めよ。」

不死川さんはさっきまで髪を撫でてくれていた手を、

ひらひらと振って振り返ることなく歩いて行った。

暗くてよく見えなかったけれど、

どこか柔らかに笑っているように見えた。

義勇さんはいるだろうか…。

夜だから寝ているかもしれない、そう思ったので小さくと戸を叩く。

「トントン」

(名前)「ただいま帰りま―――――。」

義勇「(名前)…!!」

戸を開けた瞬間、体がギュっと包み込まれる。

義勇さんの腕の中は温かくて心地いい。

(名前)「義勇さ、苦しいです…。」

義勇「すまない、だが…心配だった。

　 つつがなくて、本当によかった。」

安心したのか、抱きしめる力が少し弱くなった。

久しぶりに感じる義勇さんの温もりに私も安心して、

ギュっと大きな背に腕をまわし、抱きしめ返した。


―次の日―

今日はとてもいい日だ、私も義勇さんも休息をもらった。

義勇「では(名前)、会えなかった分、不安にさせた分、

　 今日はたっぷり甘えさせてもらう日とするがいいか。」

紺色の着物に身を包んで、正座をする義勇さん。

体制、態度と言葉が嚙み合っていないような…。

(名前)「わ、分かりました！」

でもたまにはこんな義勇さんも、こんな日も、悪くはないな。

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