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雨が降ったら… ページ3

雨が私の体温を低下させる中、視界に映った醜い姿。

「ザっ!」

立ち止まって、鞘におさめられている日輪刀をかまえる。

鬼は十二鬼月ではないが、今日の中では最も強いだろう。

しかし、この鬼を私は斬りたくはなかった。

鬼「頼む、頼むから…俺を、殺してくれ…!」

震えていた、涙を流していた。

この鬼の心は、ひび割れた皿のように脆く弱い。

私は日輪刀を握る手を離すことなく、鬼の方へと近づいた。

(名前)「どういうことだ。」

鬼の青と緑が混ざった瞳から零れる雨は

止まることを知らず、空間を濡らす雨と同化した。

鬼「ずっと後悔していた、

  かつて自分と同じだった者を殺すことを。

  ずっと辛かった、

  日々を重ねるたびに自分が自分でなくなるとこが。

  何度も何度も自ら命を絶とうとした。

  しかし皮肉なものだ、痛いのも苦しいのも怖いだなんて。

  奪った命の痛みを、苦しみを受けなければならないのに。

  すまないが自我を保つのも辛いのだ、早く殺してくれ。」

はらわたが煮えくり返った。

叫びだしそうな声を抑えて、

想いを寄せる義勇さんのように冷静に口を開いた。

(名前)「…生殺与奪の権を、他人に握らせるな。」

私が柱に入って間もない頃、義勇さんによく言われた言葉だ。

鬼は自分に対してか、私に対してかは分からないが

呆れたように笑った。

鬼「それもそうだな。
 
  しかし俺はもう、人ですらなくなってしまい

  鬼としての強さも残酷さも持てなくなってしまった。

  最期の頼みを聞いてくれないか、鬼狩りよ。」

そうはいえども、どうしても殺したくはなかった。

鬼を人に戻すことができたら、このヒトは

どうなっていたのだろう…。

私は日輪刀を強く握り、体勢をとった。

(名前)「私の仕事は鬼を斬ることだ。

  今までどんな鬼も残さず斬ってきた。

  お前が願わずとも、私はお前を斬るだろう。

  それは自分が斬りたいと思ったから、

  殺したいという欲求を満たしたいからではない。

  鬼がいない平和な明日をつくるために、私は鬼を斬っている。

  だから私は、お前の願いを尊重するわけでなく

  仕事として平和な明日をつくるためとしてお前を斬る。」

それでも、そう言っても日輪刀を握る手はどこか弱かった。

鬼「それで、十分だ。

  俺はお前のような鬼狩りに斬られて幸せだな…。」

次の瞬間――――――――――。

雨が降ったら…→←雨が降ったら…


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涼野紫乃(プロフ) - 梅干し太郎さん» ありがとうございます!第一弾でもコメントしてくれましたよね!是非新作のほうも読んでいただけると嬉しいです(*´▽`*) (2020年1月15日 6時) (レス) id: 7af1ab1bb6 (このIDを非表示/違反報告)
梅干し太郎 - 最後グッジョブです。めっちゃええ。特に一番上の行が好き。尊い。  完結おめでとう御座います!面白い作品有り難う御座いました!お疲れさまでした! (2020年1月15日 4時) (レス) id: 2e6efde964 (このIDを非表示/違反報告)
涼野紫乃(プロフ) - 華鈴さん» 完結までありがとうございました〜。新作もよろしくお願いしますm(_ _)m (2020年1月12日 16時) (レス) id: 7af1ab1bb6 (このIDを非表示/違反報告)
華鈴(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても見ててドキドキしました!お疲れ様でした! (2020年1月12日 13時) (レス) id: 6d97d4a66b (このIDを非表示/違反報告)
涼野紫乃(プロフ) - 華鈴さん» おめでとうございます!これからもこの作品や他の作品をよろしくお願いしますm(_ _)m (2020年1月4日 20時) (レス) id: 7af1ab1bb6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:涼野紫乃 | 作成日時:2019年12月7日 21時

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