義勇さん好き集まれ！義勇さん短編集〜 第１弾

風邪をひいてみたら… ページ33

眠る(名前)に口づけをおとす。

薄っすらと開いた唇にすかさず水と薬を入れる。

(名前)の口元からは、飲みきれなかった水が零れる。

周りにいる胡蝶や甘露寺のことを思い出して

ハっとしながら、(名前)から唇を離す。

義勇「……これで、連れて帰ってもいいか？」

口元を隠しながら、胡蝶の方を見つめる。

甘露寺は顔を真っ赤にして、口をパクパクとさせる。

胡蝶「は、はい。そんなだから…。」

最後の方に言った言葉は聞こえなかった。

俺は眠る(名前)を起こさぬように、背に乗せる。

胡蝶「あ、あと。この薬は一日三回飲ませてください。」

差し出された薬を受け取って、部屋を後にした。

―in廊下―

用が終わり廊下を歩く俺の後ろを歩くのは、

自分もまた屋敷に戻る様子の甘露寺。

俺は振り返って、(名前)を落とさぬ甘露寺に頭を下げた。

義勇「甘露寺。(名前)を見つけ此処まで

　 運んでくれて本当に助かった、感謝する。」

頭を静かに上げて、甘露寺の表情を伺う。

甘露寺「大丈夫ですよ。たまたま任務の帰りに歩いていたら、

　 雨に濡れて倒れている(名前)ちゃんを見つけただけですから。

　 それに私、さっきのを見て冨岡さんにとっての

　 (名前)ちゃんを大切に思う気持ちがすごく分かったの。」

俺の目が映す甘露寺は、柔らかな笑顔だった。

自然と頬が緩んだ俺は、甘露寺にまた礼を言って屋敷に戻った。


―(名前)side―

頭がクラクラとして、耳元で鐘がなってるみたいにガンガンと五月蝿い。

体に熱が集まって、焼けるように熱い…苦しい。

「(名前)、(名前)―――――――。」

誰かが私の名前を呼んでいる。

優しい、心地がいい。

この声は――――――。

(名前)「義勇…さん？」

瞼が上がり目が覚めると、照明で少し目がくらむ。

名前を呼ぶと、私の視界いっぱいに

会いたかった義勇さんの顔が映る。

義勇「目が覚めたのか、よかった。

　 雨に濡れ風邪で倒れたんだ、覚えているか。

　 胡蝶の薬だ、起き上がれるのなら飲め。」

力の入らない体に頑張って力を入れて、起き上がる。

義勇さんに手伝ってもらいながら、薬を飲んだ。

そうか、私…倒れたんだ。

明日は任務には…いや、どこにも行けそうにないな。

義勇「任務のことなら安心しろ。

　 しばらくは休んでも構わないそうだ。」

安心したのか、体がさっきよりも重くなる。

義勇「甘露寺に粥を作ってもらった、もう一度起き上がれるか。」

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