義勇さん好き集まれ！義勇さん短編集〜 第１弾

風邪をひいてみたら… ページ32

―義勇side―

任務が終わって屋敷に戻り、

俺よりも後に任務に行った(名前)を待つ。

にしても遅いな、もう日は落ちているし雨も降っている。

「ドンドン」

ちょっぴり乱暴に扉を叩く音がする、(名前)か？

義勇「開いているぞ。」

扉のほうにも聞こえるように、少し声を張る。

俺が答えるなり廊下をドタドタと慌ただしく走る音がする。

「ガタっ！」

襖が開いて見えるのは、桜餅のような髪色の三つ編み。

同じ柱の甘露寺だ、何故こいつがここに？

義勇「甘露寺、何かようか…。」

甘露寺「冨岡さんっ！大変です！(名前)ちゃんが…っ！」

俺は手元に置いてあった日輪刀を片手に

強く握りしめて、甘露寺の話を聞いた。


―in蝶屋敷―

「ガラガラっ！」

目の前に均等に並ぶ清潔なベッド、

その上には傷を負った鬼殺隊員たちが眠っている。

俺の一番近くにあったベッドには愛しい

(名前)の眠る姿があった。

胡蝶「冨岡さん、扉は静かに開けてください。

　 (名前)さんは勿論、他の隊員の方もいるんですから。」

俺を睨みつける胡蝶は(名前)の様子を見ている。

義勇「…すまない。」

開けっ放しになっていた扉を、甘露寺が

通ったのを確認して今度は静かに閉める。

眠る(名前)は顔がゆでだこのように赤く、

息は荒々しく、呼吸も整っていなかった。

…とても辛そうだ。

甘露寺「やっぱりまだ熱が下がらないのね。
　
　 見つけた時よりもしのぶちゃんの薬で

　 よくなってるみたいだけど、やっぱり辛そうだわ。」

(名前)の姿を見るなり、自分のことのように

辛そうな表情を浮かべ言う甘露寺。

義勇「胡蝶、(名前)は大丈夫なのか。」

俺は医者ではないから、今の(名前)の状態は分からない。

屋敷に連れて帰っても大丈夫なようならそうしたい。

胡蝶「はい、今は薬で。

　 しかしあと少し遅かったら寒さと疲労で

　 瀕死状態か死んでいたでしょう。

　 ただの風邪とはいえ、(名前)さんはあまり

　 なったことがないようなので、相当苦しいでしょうね。」

大体の(名前)の状態を聞いて、

重病ではないと分かり胸を撫でおろす。

胡蝶「ひとまずこの薬を飲ませれば、

　 屋敷に連れ帰っても大丈夫です。

　 しかし起きる気配がないので飲みませんね…。」

薬を手に持って、ハァと重いため息をこぼす胡蝶。

義勇「かせ、俺がやる。」

胡蝶「ちょっ…冨岡さ…。」

驚いた表情の胡蝶の手から薬を取り、水と一緒に口に含む。

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