Episode.11 ページ12
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_ザァァァァ
外へ出ると雨が降り始めていた。
数分前に雲行きが怪しい、と空を見上げながら呟いた征の予感は当た。
…ていうか、黒子君の言う通りだったなあ。
天気予報なんかより、これからは黒子君の予報を当てにしよう、うん。
「A。」
「…お、」
ここで待ってて。
征がそう言ったのはついさっきの事。
屋根があるここで私を待たせて、彼は車をここまで持ってきてくれた。
_ガチャッ
「中からですまない。乗って」
「ありがとう…お、お邪魔します。」
「はは、どうぞ」
中に入りドアを閉め、ふと気づいた。
入る前に思った…この車絶対高いわこれ。
黒の…何ていう車なんだろ。
こんな高価な車、乗っていいんだろうか。
「どうした?乗り心地悪いか?」
「い、いやいや!むしろ良すぎて…」
「ははは、そうか。」
家はどの辺?と聞いてくるから、私は自分の住所を言う。
すると、ナビに住所を記入して出てきたマップに征は眉間に皺を寄せた。
「…ここから随分とあるな」
「うん、だから行きは電車で来たの」
「これでよく歩いて帰ると言ったものだ。」
「え、」
「危険すぎて1人で帰さなくて良かったよ」
と、安堵の溜息をついた。
…ああ、そうだった思い出した。
征はかなりの心配性だったなあ…
_____
「駄目だ。」
高2の冬、部活で帰りが遅くなる征に私は一緒に帰りたいと駄々をこねた。
けど…
「んもう!何でそんなに頑固なの!
別に良いじゃんか!」
「駄目なものは駄目だ」
征は何を言っても駄目だの一点張り。
その顔を縦に振ろうとはしなかった。
「征のケチ!いーよ、分かった。
そんなに私と帰りたくないんだね!」
「はあ…そんな事言ってないだろう」
「いーや、その顔にちゃんと書いてある!
私と帰りたくないって!正直に言えバカ!」
子供みたいにそう言う私に、彼は困った大人の様にその整った顔を歪ませため息をつく。
「あのな…」
暗いと危険、寒い所で1人で待たせられない、って。
…でも結局は、私の威力に負けて一緒に帰ってくれたけど。
「寒くないか?」
「全然!征がいるもんね」
「はは、そうか。」
温かい手でぎゅっと手を握ってくれて、危ないからだろう、何も言わずにいつの間にか車道側を歩いていて…
ああ…もう全然…
「…変わってないね」
「ん?何て?」
「ふふ、何でもない」
そう会話をしながら、彼は静かに車を発進させた。
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羅夢(プロフ) - スカビオサさん» あ、ほんとですね!!!ご指摘ありがとうございます助かります! (2017年5月30日 7時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
スカビオサ(プロフ) - 天ノ弱は曲名なので、天の邪鬼だと思います。意図的でしたらすみません。 (2017年5月30日 2時) (レス) id: b80a207be1 (このIDを非表示/違反報告)
あんぽんたんこ(プロフ) - 羅夢さん» お話さっき書きました笑 駄作なんですけど…笑 ありがとうございます´`* (2015年8月3日 20時) (レス) id: 715647ff88 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - あんぽんたんこさん» 赤司君とのお話書いてるんですね♪嬉しい、仲間が出来た感じがします。(*^^*)ぜひ、お友達になりましょう!!! (2015年8月3日 20時) (レス) id: 6d912d8097 (このIDを非表示/違反報告)
あんぽんたんこ(プロフ) - 羅夢さん» はい!´`*自分始めたばっかりで不安がいっぱいで、お友達希望してもいいですか?図々しくすいません。 (2015年8月3日 20時) (レス) id: 715647ff88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羅夢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/soraland2
作成日時:2015年8月3日 14時