【小説】能力者の通う学園【募集企画】 (ページ43)

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第43話「騒々と想像」桐島蓮ページ43

氷我side

眠ってるフリをしているのも疲れるものだった。何にせよ騒がしすぎた。買い物とかお土産とか言ってる人もいるので脳内で『修学旅行は大金必要』というワードが浮かんでくる。想像というか今までの先生とクラスの会話を元にイメージすると、遠くまで行ってまだ何も知らない奴等と知らない場所で寝たり、買い物して……みたいなのをイメージしたのだ。

自分の生活で手一杯なのに、そんなとこ行けるわけもない。黙って聞いてるのも怠くなり、とうとう席を立ち上がって教室から出る。

「考えただけでも具合悪くなってきたな……」

どうしても馴れ合いには慣れない。いや、慣れたくないのだ。慣れたら今の生活が出来なくなりそうだ。

「そろそろ能力切れそうだしどうするか……」

昨日喧嘩売られてるためそれを隠すために能力を昨日から使っている。顔と身体には鋭く残っている傷。此方からは『手は出していない』。それにこんな傷を見せてしまったらと考えると堪らなくなってきた。

黙っていなくなると、変に騒がれそうだから一度早足で教室に戻り、凛にしか聞こえない声で「能力切れそうだから休めるとこ行く」と伝え即教室を出た。

出た瞬間に能力が切れたのでヒヤリとする。保健室を先に把握しておいて良かったと痛感した。

今の姿を誰かに見られたりしたら、プライドがズタボロになる。必要なのは強さだけだから見せたくないというよりも『綺麗なまま』でいたい。

保健室について、そこに白衣のきた人がいた。氷我は「げっ」という声が必然的に出た。

気を取り直したように「具合悪いから寝る」と言いベッドの方に歩いていく。具合悪いのは確かではある。慣れないところで刺激を受けすぎたから。

傷を隠すように布団を頭まで株って、丸くなる。寝ると言ったが寝れない。古傷とか新品の傷が痛すぎて寝れない。

「本当、最悪」

痛みを必死に我慢するように、布団の中でモゾモゾしてるしか他なかった。