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第30話「驚き」わいんれっど ページ30



 驚いた。とても驚いた。醂さんが俺の頭に触れたその瞬間、俺の意識はそこで一旦途切れた。そして意識が戻ると、みんな俺と醂さんを鳩が豆鉄砲食らった様な顔をして見ていた。見ていた皆も何が起こったのか分からないような顔。当の本人である俺でさえも何が何だか分からない。でも、それが醂さんの能力なのは分かった。意識を切断する能力、か……
 俺がポカンと呆けていると、雪彦さんが真っ先に声を掛けてくれた。紫の透き通った瞳が俺の顔を除き込む。肩を掴んだその手は、とても優しかった。

「無事か、鋼。どこも異常は無いか」
「雪彦さん、だーいじょうぶだよー! ボクが信じらんないー?」
「大丈夫、雪彦さん。何とも無いし、いやまあ、急な事だったから何が起こったのか分からなかったけど」

 新しく来た人達の能力紹介も終わり、次は俺達の番が来た。注目の的になるのはあまり好きじゃない。

「俺の能力はメタルキャット。簡潔にまとめると……金属を食い千切る猫になる。摂取した金属は鎧として腕……どちらかと言うと手かな。首、足に発現するよ。こんな風に……ね」

 能力を発動してみせる。すると皆の目に興味の輝きが見えた……様な気がした。耳と足が猫のものに変わり、細長くしなやかな尾が生える。特に女性陣に受けが良いのかな。女の子達がより一層にっこりと笑った気がする。
 そしてポケットから、家を出る前に部屋から持ってきた鉄の破片を取りだし、それを口の中に入れた。鉄の味がするなあ。当たり前だけどね。美味しくはないね、やっぱり。破片を飲み込みしばらくすると鎧が発現し始める。食べた量が少ないから厚みも薄くなってるけど、重たい。

「で、この状態で鉄を食べると、鉄製の鎧が出来上がるって訳だよ。食べた金属は何故かどっか行っちゃうみたい」
「へえ……攻にも守にもなるんだな。汎用性が高そうだ」

 誉められた……のかな。今までそういうのは無かったし、ちょっと。嬉しい。誰だったっけ。えっと……

「ありがとう。えっと、桐斗くん……だよ、ね?」
「あ、覚えててくれたんだー。ありがとね。嬉しいよ猫田」

 合ってたらしい。良かった、間違えてたらどうしようかと思った。
 俺の紹介が終わったから、次は必然的に雪彦さんだ。皆の視線が自然と雪彦さんに集まった。

第31話「今昔」わいんれっど→←第29話「無理しないで」エリー



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SHEI☆(プロフ) - こんにちわ (2018年2月10日 19時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
八月 葉月(プロフ) - 更新します。 (2017年11月28日 17時) (レス) id: 4d1da3eba3 (このIDを非表示/違反報告)
桐島蓮@新しい垢(プロフ) - 終わりましたっ (2017年11月20日 11時) (レス) id: ee89f7f761 (このIDを非表示/違反報告)
桐島蓮@新しい垢(プロフ) - ちょっと修正してきますっ (2017年11月20日 11時) (レス) id: ee89f7f761 (このIDを非表示/違反報告)
わいんれっど(プロフ) - 修正終わりました。(とりあえず報告) (2017年11月19日 20時) (レス) id: 43754a1210 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:殺人鬼少女・エリー x他9人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年11月16日 20時

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