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*
「ってか、Aちゃんって…いつも1人だよね?」
『………』
「友達とか、作らないの?」
『…友達なんていらない』
いらないよ、友達なんて。
どうせ裏切るんだから。
「なんでそんなに嫌がるの?」
『……』
顔を背けて福田佑亮からの視線をそらす。
まっすぐと見てくるその目は私にとって胸が痛くなる。
福田佑亮が遠慮がちに聞いてくることもわかった。
興味で聞いているわけではないこともなんとなくわかっている。
『……もう、裏切られたくない』
無意識だった。
出た声は小さくて、福田佑亮に聞こえているかわからなかったけど、少しだけ福田佑亮が動いたのが目の端で見えた。
〈アンタのこと、友達なんて思ったことないし〉
〈目障りなのよ!〉
…もう、考えたくもない。
.
「それじゃあさ、俺と友達になろうよ!」
名案!と明るい声で言った福田佑亮を反射的に見た。
…福田佑亮と、友達?
「俺ね、ずっとAちゃんの笑った顔見たいなって思ってたの!絶対可愛いもん!」
『……』
「笑いなよ!俺、Aちゃんが笑った顔好き!」
『……そんなこと、ない』
そう、そんなことなんてないよ。
私はーーーーー………
「んー、じゃあさ!もっと俺と話そ!」
『…え?』
「ってか俺さ友達になりたいんだよね、Aちゃんと」
『……』
「…いや、かな?」
福田佑亮はこちらを見て不安そうに笑っていた。
その表情に言葉が詰まる。
ここで 嫌 と言えば私に話しかけてくることもなく、女子に絡まれることもなく落ち着いた元の生活に戻れるんだと思う。
でもなぜだか嫌だと言えない。
「誰かと話してみると何かが変わるかもよ?」
…変わりたいと、思ってるのかな。
私の気持ちなのによくわからない。
でも、なぜだかこの人は大丈夫だということは直感的に感じた。
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作者名:たろたろ。 | 作成日時:2016年7月19日 19時