Sing For You (ページ2)

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季節は冬。

僕はポッケに手を突っ込みながら
マフラーに顔を埋め
なかなか出てこないAを待つ。

ポッケの中には
カイロが二つ

ほんのり温まっているそれは
あまり寒さしのぎにはならなかった。

寒いな～～

寒がりな僕にとって
冬の外は大っ嫌いだ。

XI『う～～寒い、、、』

なんとなく口に出して
言ってみると
言葉と一緒に僕の口から
白い息が吐き出されて
なんだか余計寒くなった。

チラッと腕につけられた時計を見て
時間を確認する。

そろそろ出てこないと
遅刻しそうなんだけどな、、、

そう思っていたとき
Aの家の玄関が開き

『いってきます！！！！』

という元気な声とともに
Aが飛び出してきた。

『オッパ！！！遅くってごめんね！！！』

そう言ったAの髪の毛は
ボサボサでマフラーの巻き方も
すごく汚かった。

僕は一度マフラーを解き
髪の毛を整えてから
Aの首にマフラーを巻きなおした。

XI『大丈夫だよ』

そう言いながら
さっきまで自分のポッケで
あたためていたカイロを
Aの右手に握らす。

そうするとAは
ニコォっと笑って

『オッパありがとう』

って言うんだ。

僕はポンポンとAの
頭を優しく叩き歩き出した。

僕の耳が真っ赤なのは
きっと寒さのせいだ。