花魁 2ー20 過去5 ページ23
賑わう声とは裏腹に、曇のない満月と夜空が浮かぶ。
幼き頃から厳しく育てていた女将さんと父親の様に優しい当主は月夜にこう告げた。
女将「月夜、あんたの水揚げ相手はあの有名な大名、
当主「桜城様は普段遊女と夜関係を持つことはしないのだが、どうやらお前さんのことを気に入ったらしい。桜城様に感謝しなさい。」
月夜「…はい。」
18になった月夜は、立派な花魁を目指す為に水揚げという儀式を行う。
相手は、基本的に女の扱いが上手かったり、常連で金持ちの男が多い。
その中でも客として位が高い大名、桜城だ。
夕霧姐さんの話しだと、彼はとても顔立ちが良く権力も高い大名だ。
他の妓楼の遊女が、何時か美青年が夜の相手になって欲しいと思い何度も誘っているのだが
桜城はこれまで一切誘いに釣られなかった。
芸などは娯楽として見ることが主に多かったのだが、女と関係を持つことは今夜水揚げされる月夜が初めてだった。
桜城「お前さんが、月夜かえ。」
目の前には、予定通り桜城様だった。
漆黒の髪色、キリッとしたツリ目だがどこか儚げな瞳をしていた。
彼の容姿は誰もが、美青年…現代で言うとイケメンだ。
でも、月夜はこの夜をどこか不安に感じていた。
いくら相手が顔立ちの良い大名だとはいえ、自分の初めてを誰かに奪われることになるのか
将来、自分に好きな男が出来た時後悔するのか
想像を絶するほどの痛みを感じなければならないのかと。
桜城「やはり、怖い?」
月夜「いえ、桜城様が水揚げ旦那で嬉しいです。」
桜城「…私の前では、強がらなくて良いんだよ。」
そう小さく呟いていたような気がしたが、桜城様は儀式を行うため着物に手をかける。
他の野蛮な男性とは違って、優しい手付き。
桜城様は決して卑しい顔せず、神妙な顔つきで月夜に触れた。
月夜「っ………。」
生理現象で汗が滲む。
得体の知れない物によって貫かれる様な痛み。
でも、思っていたのと違って気絶するほどの痛みではなかった。
何故桜城様は、月夜の水揚げ旦那を自ら立候補したのだろうか。
陽が昇り、障子から日光が屈折する。
桜城「お疲れ様、今日は良く頑張ったね。でも明日からは厳しくなるから、体には気を付けてなさい。」
月夜「…あい、桜城様ありがとうございます。」
布団から出て、だらしない服装になっても
桜城様は、美しかった。
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月見だんご(プロフ) - 構いません!宜しくお願いします🙂 (2月14日 14時) (レス) @page24 id: f6787a6d04 (このIDを非表示/違反報告)
日依(プロフ) - 月見だんごさん、ありがとうございます。このシリーズは固定設定なのですがそれでも大丈夫でしょうか?この主人公である月夜は好みが別れるかもしれませんが··· (2月12日 23時) (レス) id: 08b2d47db3 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - オチがオロチで嬉しい😄自分もオロチが推しなのでこういう作品が見れるのは嬉しいです。もっとオロチとの絡みも見てみたいです。更新楽しみに待ってます😆 (2月12日 23時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日依 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=sorairokopikku2
作成日時:2023年2月8日 9時