命拾い ページ6
夢主side
両面宿儺が指を動かすのが凄くゆっくり見える。
彼が術式を発動したら私は頭を真っ二つ。
苦しまずに一瞬で死ねるだろう。
でも、いいの?
本当にそれでいいの?
今まで散々な扱いをしてきた父親に、何も言い返さないの?
どうせ私は死ぬんだ。
もう二度と会う事もない。
クソ親父からしたら生贄も捧げられて邪魔者も排除出来て、まさに一石二鳥だろう。
両面宿儺の屋敷から出たら、私の事など綺麗さっぱり忘れ、これまで通り何も無かったかのように過ごしていくのだろう。
そうは問屋が下ろさねぇ!!!!!
「このクソ親父いいいいいい!!!!!!」
「っ!?」
急に叫んだ私を見て隣にいたクソ親父がギョッとした。
両面宿儺も思わずといった様子で動きを止める。
「マジふざけんじゃねぇよ!?ねぇねぇねぇ!?おっさんおっさんおっさん!!あんた今まで私に何した!?あんた今まで私に何した!?」
「ひいっ!?」
親父の胸ぐらを掴むと、親父は可哀想なくらいに縮こまる。
「忌み子だからって使用人みたいに扱ってきやがってさあ!?それが娘に対する扱いか馬鹿野郎!!!!産んだのはそっちでしょ!?子供は親を選べないんだから、それ相応に責任持って育てるべきじゃないの!?」
「……っ、だ、黙れ!!離さぬか!!!」
「うるせぇよ黙ってろよおっさん!!!!黙って聞いとけよ!!ああん!?」
「ひぃっ!?」
「不当な扱いをされても耐えてきたのに、今度は生贄になって殺されろだぁ!!??やってられっかっての!!!最後ぐらい役に立て、じゃねぇよ!!!私ちゃんと使用人の仕事して役に立ちすぎてただろうが!!っつか人間扱いされてたのかさえ怪しいけどな!?マジふざけんな地獄に堕ちやがれえええええええええ!!!!」
ふっ、キマッた。
哀れなほどに震えている父親を見ているとなんだか馬鹿らしくなってくる。私はこんな人たちに、一体何を期待していたのだろう。
肩の力を抜いて息を吐くと、上座から両面宿儺が声をかけてきた。
「…話は終わりか?茶番を見せられて退屈なんだが。」
「覚悟は出来ておりますゆえ、ちゃっちゃと殺しちゃってください。こう、スパーンッと。」
ああ、さらば我が人生よ。
私は両面宿儺に向かって跪いた。
…………が、一向に何も起こらない。
一応頭を触ってみたが、うん。頭ちゃんと付いてる。
ちらりと上を見ると、両面宿儺は何かを考えているようだった。
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かな - うわぁぁぁぁぁ完結やばすぎてやばたにえん←え? (4月8日 4時) (レス) @page40 id: 944b8cf5cc (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー - え?これ、ハッピーエンド?これで完結だと?続編期待してます❗ (4月7日 20時) (レス) @page40 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
coco - 更新待ってまる (1月13日 5時) (レス) @page40 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 千と千尋ww 開き直れる主人公めっちゃおもろいです笑笑 (12月27日 0時) (レス) @page8 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - ふ、ふぇ??完結、、??この神作夜中に寝ている親の横で読んでいたから吹き出しそうになって危なかったですwそれと泣きました(( (12月4日 19時) (レス) id: 733585db8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EL | 作成日時:2021年5月14日 6時