茶碗蒸し ページ28
裕翔side
慶「登場人物の気持ちなんてわかるわけないじゃない。ただでさえ人の気持ちなんて分からないのに、なんて思う年頃だと思いますけど、物語の中では…」
長々としゃべるけーちゃん。
事の発端はテストが返却された時、クラスメイトの1人がどうしてもこう思っただから丸してくれなんて言い出して、それじゃあ私も俺もと続いたら、いつもより少し丁寧な口調でけーちゃんが説明してるってわけ。
そんな説明なんて聞く余裕ないほど、ギュルギュルと動きが感じられる腹痛が襲いかかってる。
普段の授業なら先生の近くに行って、お腹痛いからお手洗い行っていい?って聞けるけど、こんな雰囲気で行けるはずもない。
前の席のちぃちゃんを呼べる雰囲気でもないし、後ろ振り返って伝えられそうな涼介はいつも通り窓の方に体を向けて寝てしまってる。
はぁ、やばい。冷や汗が噴き出る。
頭の中でドラムを叩いてみたり、少し前屈みになりながらお腹をさすってみても良くはならない。
けーちゃんにアイコンタクトとろうとしても、さっき文句言ってたあいつらの方を見てる。
なんなんだよ…我慢しすぎてなのか気分も悪くなってきた…
侑「ねぇカタカタうるさい…今の雰囲気考えてよ……え?裕翔?どうしたの。先生!裕翔が!」
裕「痛い…無理っ…」
慶「ごめんな、俺のせいかな。」
涼「裕翔行くぞ」
相当動いてしまってたのだろう、侑李が小声で少し怒った声で注意してきたけど、そんなの気にせず伝えることができるチャンスだと思ったけど、そんな余裕もないしちぃちゃんも急に言うからクラスみんなの視線を感じて余計気持ち悪くなって冷や汗が止まらない。
やばいと思ったら、寝てたはずの涼介が立たせてくれてトイレまで小走りで手を引いてくれた。
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作者名:そら | 作成日時:2020年9月1日 19時