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誰かの為の嘘も結局は嘘 ページ19

「本気で言ってるんですか?!
隊長のことに決まってるじゃないですか!!」

「分かんねェ」



お前が本気で言ってんのか。そうじゃないのか。

本気で言ってんなら、嫌だって言っても離さねェ。
ほんと本心が読めない。いつもいつも。



ある日突然、何処かへ消えてしまう様な気さえする。



「お前ィが何考えてんのか。分からねェ。
それに無理矢理、笑顔作ってんのバレバレだから」

「……………」



何も返さず奴は、竹刀を振り下ろす。

溢れ出した言葉は止まることを知らない。



「イラついたなら、言い返せよ。辛いなら辛いって言えよ。俺はそんな……」


“頼りねぇかィ”

声にならなかった言葉。
薄暗闇の中、震え始めた影に失った言葉。


「…ずッ…ふっ…ん……分から…ない…んです。どうしたら…良いか。
…怒るのも、泣くのも。…自分が辛いのかさえ」



泣かすつもりなんて微塵もなかった。
伸ばした手は、無論届く筈ない。

その姿を見て思った。

あいつは…泣いてたんだ。
誰にも気付かれる事なく。誰にも頼る事なく。
きっと心はいつも。






道場の中に足を踏み入れ、頭を撫で…たのではなく、思い切りぶっ叩いた。


「痛ッ!え……」

「バカ野郎。
俺はそんなに頼りねぇですかィ」


首をブンブンと横に何度も振り、その後に大空は涙を拭い、淡い桃色の瞳を輝かせて力強く笑った。



「沖田隊長はいつも、嘘偽りのない言葉を私に送ってくれた。だから、私も…自分に正直になりたい」

「上等でィ。俺もいつか言わせてやらァ」


本当の“好き”を。奴の口から。


「何かは分からないですが、頑張って下さいね」

「へぇ随分と余裕なご様子で」




この時からだと思う。
俺が…いや、俺達が変わり始めたのは。







___




“可哀想”


そんな同情、要らなかった。
そんなのは口だけで、嘘に溢れていたから。
誰も信じない、頼らないって決めた筈なのに。

そんな人達しかいないと思っていた。


だけど…違った。




『大空A。君を真選組に迎えよう』


嬉しかった。すごく、すごく。



『近藤さん。こんな腰抜け、入れるだけ無駄ですよ』


出会った日。
初めてもらった、嘘偽りのない真っ直ぐな言葉。



『舐めんな、お前ィみたいなのと一緒にすんな。こんなん、かすり傷とも言えねェよ』


知ってた。そう言って笑っても、年を重ねる事に増えていく傷を。


好き。

気付けばもう、引き返せない。
あと幾つの季節、側に居られるだろう。

刺激的な日々の中、育む愛→←立場が逆転しても尚、募るばかり



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 真選組   
作品ジャンル:恋愛
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千の歌を歌う人(プロフ) - 十音さん» 返信が遅くなり、すみません!!ご期待に添える自信はあまりないですが、書くのがすごく楽しいので頑張ります!! (2020年2月16日 23時) (レス) id: 88ef43b3c1 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» すごく好きです!(この作品も千さんも)(突然の告白) (2020年1月25日 23時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - 十音さん» すごく驚きました。すごく嬉しいです! (2020年1月25日 12時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» と思ったら1位だよ!!!!おめでとう!!!! (2020年1月19日 1時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» すごっっっ!!もう去年Aなってるんだよなぁ我。あ、関連作品ランキング2位おめでとう!!!!!! (2020年1月19日 0時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千の歌を歌う人 | 作成日時:2020年1月1日 1時

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