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そして俺は。
“
「登坂君おめでとう。栄転だよ」
結果を出す事が出来た。
認められた。
なのに
「おめでとう広臣。本当凄いわね」
手放しで喜ぶ事が出来ない自分も居た。
「嬉しいの？A」
「え？嬉しくないの？広臣」
「嬉しいよ？でも…」
やっと気付いた。
「向こうに行ったら
…7、8年は日本に戻れないってさ」
特段驚く訳でもなく
さも解りきっていたかのように
不憫そうに俺を抱き寄せたA。
「…チャンスは、逃すものじゃないわよ」
Aには、とっくに見えていたんだ。
俺が
俺達が
この先、どうなるかという事を…。
俺をあやす様に、俺をなだめる様に
求めてくれたその夜。
“悩む必要なんてない”
まるでそう窘められている様に思えて
情けなかった。
一分一秒が
こんなにも尊く
こんなにも大切だと感じた事はない。
全ての瞬間を感じ取らなければ
陽炎の様に消え去ってしまうんじゃないか。
「A、俺の名前、もっと呼んで」
どんなにかっこ悪くても
どんなにガキだと思われようとも
「ふふっ、大丈夫よ広臣。
私はちゃんと…ココに居るから」
目覚めた時、外は雨が降っていた。
俺の腕の中で眠るAが
愛おしい。
「おはよ、A」
「おはよう、広臣」
ワンルームのマンションに
存在感を主張するシングルベッド。
あと少しでベッドから落ちそうな位置に
Aが居たと言う事は
多分俺が
眠りながらもAを探し求めていたからだろう。
「A、落ちそう」
場所をずらしながら抱き寄せれば
寝ぼけ眼のAは俺の首に腕を廻し
「いい匂い…」
うわ言の様にそう囁いた。
いつか。
いつの日か。
大人の女を招き入れるに相応しいような
もっといい部屋に住んで
キングサイズのベッドを買って…
そんな思いを巡らせながら
その未来は、あまりにも現実味が無く
結局先を見越す事が出来ない俺は
「広臣、コーヒー飲むでしょ？」
「ん」
Aが淹れてくれたブラックのコーヒーを飲みながら
こぼれ落ちる煙草の灰を
無情に眺めていた。
ここにAが通うようになってそろそろ一年。
俺たちに
終わりが見えて来た。
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空(プロフ) - kotanonさん» 更新遅くなってすみません^^;ありがとうございます！３も、お付き合い頂ければ嬉しいです＾＾♪ (2020年6月24日 7時) (
レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
kotanon(プロフ) - 空さ〜ん☆更新ありがとうございます！！ これからの展開も楽しみにしてます♪♪ (2020年6月24日 0時) (レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» お久しぶりです！お手間とらせてすみません^^;移行になります！よかったらまたよろしくお願いします＾＾ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 行きましたよ―笑ついでにATMもｗｗ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わ…びっくりしました(笑)お久しぶりです。久々すぎても一度読み返しまーす(笑) (2020年6月21日 22時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月8日 16時
