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思い返せばあの日


Aが駆け寄った男だ。



俺に軽く頭を下げた“健ちゃん”は

すぐにAに向き直した。


同時に


握られていた手が、あっけなく解放された。









「A、話があんねん」

「私は…ないかな…」

「A…俺、」

「もういいよ、健二郎…」



俯くA。


「A…ほんま…ごめん」



「…私。行くね。


 バイバイ、健二郎」






Aは笑顔でそう言ったけど、








俺には泣き顔に見えた。









エレベーターに駆け込んだA。



「あの…」



その声が、追いかけようとした俺を引き止めた。




「はい?」

「なんか、すみません」

「…いえ、全然」





そんなことよりAだ。

きっとまた、泣いている。



「…じゃ」


「あっ、あの!」


「…なんすか?」








「Aの事、よろしくお願いします」









頭に血が上ったのは久しぶりだった。

湧きあがる怒りを堪え、俺はそいつを見据えた。






「言われなくても。









 それに…









 俺は泣かせるような事はしませんよ?」







一瞬目を見開いた“健二郎”。


何か言いたげに、

でも何も言わず、


深々と頭を下げて立ち去って行った。









312号室。

もしかしたら
返事はないかもしれないと思いながら押した
玄関先のインターホン。


でもそれは直ぐに反応し、

ランプが点灯した。





「…ごめんね広臣。変なとこみせちゃって」

「開けろ?」

「え?」

「いいから、開けろ?」







ほら。やっぱりだ。



「…だからさ。貸してやるっつーの」








A、頑張ったな。

かっこいいじゃん、A。




今日もまた、声を殺して泣くA。

その悲しみや痛みから、

どうにかして解放してやりたい。







「部屋、来ない?」

「えっ…また?」

「ちげーよ。いいから、ちょっと来て?」





今日はそういうんじゃない。



純粋に

あの景色をAに見せてやりたいと思った。




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設定タグ:三代目 , 登坂広臣 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» ありがとうございます^^ライブは、このお話の030での登坂さん風に“ご想像で”です(#^.^#) (2020年1月27日 16時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さんのストーリー大好きです三代目perfectyearライブは観に行く予定はありますか?私は京セラ観に行きたいけど倍率凄く高いですね(´;ω;`) (2020年1月27日 12時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» 楽しんで頂ければ幸いです^^ (2020年1月26日 19時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三代目メンバーのストーリー大好きです(*ゝω・*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - shireyさん» ありがとうございます(^^♪ (2020年1月26日 13時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月18日 10時

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