【ぬらりひょんの孫】転生・・また転生（女主）

４７話 ページ49

私を助けた妖怪は篠原さん以外にもう一人…妖怪の主である赤目の男。
その男と目の前にいる奴良君は繋がっていると私は疑い調べていた。
彼も…彼のおじいちゃんもとても優しいが大きな妖怪絡みの際は常に近くにいる。

(ああ……ダメや。一度疑うと悪い方に辻褄が合ってしまう。)

調べれば調べるほど…接するほどに彼の優しい人柄が分かり滅する事などしたくない。
妖怪は絶対【悪】…しかし、私を助けてくれた妖怪二人は心優しい仲間(クラスメート)。

(……私は…二人を…)
「…ゆら。」
「「！」」

背後から奴良君ではない者に名を呼ばれた。
…よく知る声だ。

「やっと見つけたぜ。ゆらぁ…」
「お兄ちゃん…？」

振り返ると着物姿に黒の羽織を着た男が二人…
黒髪で目つきの悪い【竜二兄ちゃん】とメッチャ背の高い明るい茶髪の【魔魅流ﾏﾐﾙ君】…と思われる人が何故かこの町にいる。

「式神の気配を辿ってきたぞ。本家には定期的に連絡を寄越せと言ってあったろう？ああ…修行か………だが何故こんな所でしている？外を歩けばこの街は至るところで妖怪に出会うぜ？」
「………何しに来たんお兄ちゃん…」
「！」
「竜二…」

普通に話しかけていた竜二兄ちゃんは一瞬、笑顔を消し、羽織の裏に隠していた木で作られた水筒を取り出した。

「…何してるって…ゆらぁ…そりゃあお前……陰陽師は基本、【妖怪退治】だろーが。【餓狼】！」
「え！？お兄ちゃん！？」

巨大な牙をむき出しにした兄ちゃんの式神は私達を襲ってきた。
かろうじて避けることができた私はどういうつもりか問うが…兄ちゃんは私の頭に手を置き一番言われたくない事を口にしていく。
心臓の音が大きくなり嫌な汗も止まらない。

「ゆら…そいつは…？そいつは……何だ？」
「！…な…何や？別に…友達や…？学校のな…」
「本気で言ってるわけじゃないよな？まさか……気づいてないわけじゃないだろーな？」

体や声が震えて止まらない。
その先は言わないで欲しかった…

(やめろ…言うな…)
「そいつ…妖怪だぜ。」
「「！」」

私は兄ちゃんにも奴良君にも顔を向けることはできずにただ黙って下を向くことしか出来なかった。

「あきれたぜ ゆら。まったくお前は本当ににぶい妹だな……ホラいくぞ！妖怪に会ったらどうする？」
「………。」
「妖怪は絶対【悪】。やることは…わかってるな？餓狼…喰らえ！」
「！！」

奴良君に式神が襲いかかる。
不安な表情をした彼を見た私の…足は勝手に動いていた。

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