【ぬらりひょんの孫】転生・・また転生（女主）

３８話 ページ40

「悪ぃが…こいつは俺一人で相手する。……いや…俺がしなきゃならねぇんだ。」

彼の目は大将としての覚悟を表していた。
私がでしゃばる必要はなかったようだ。

『分かりました……危険と判断した時はサポートします。』
「それなら構わねぇよ。…これが終わったら色々と聞かせろよな。」
『…はい。』

返事を返した後、玉章と刀をぶつけ合う奴良君から離れ私は氷麗の隣に戻ると頭にチョップをされた。
痛む所を擦りながら驚いていると…

「私に話してないことがまだあるの？」
『ありますね……知りたいですか？』
「当たり前でしょう！終わったらちゃんと教えなさいよ！気になって仕方ないんだから！」
『………。』ﾊﾟｼｬ
「なに撮ってるのよ！」

必死な顔が可愛くてつい携帯で撮影したら没収され削除されてしまった。
……残念。

「がっ！」
『！』
「若ぁ！！」

先程までいい感じで戦っていた奴良君は力負けしだした。
妖気も減り、人の気配が混じりだしている。

玉「空が白んで来たぞ。リクオ…」
『夜が明けて人間に戻りかけています。』
氷「そんな…！」

玉章は刀の先を奴良君の顎に当て話しだす。
勝利を確信した彼はとどめを刺すつもりのようだ。
だが、そんな事は私達が許さない。

「この街に来て一週間…とうとうこの玉章の【畏れ】が…奴良組総大将のそれを凌駕したのだ！」
首「リクオ様からはなれろぉお〜！！」

首無さんを始めとした幹部や側近達が襲いかかるが長く伸びた髪の毛を振り回し全員を弾き飛ばした。
皆様ご安心を……氷麗はちゃんと守ったので傷一つ無い！

『(危なかったですね。)……狸汁にしてやろうか。』ﾎﾞｿｯ
「なぜ……貴様達はこんな弱い奴についてゆく？」
青「ああ？当たり前だろ…」

青田坊さんの言葉に全員が頷き、奴良君はフラつきながらも立ち上がる。

「玉章…てめぇの言うその【畏れ】、オレたちはテメェのどこに感じろってんだ？てめーは刀におどらされてるだけで…てめー自身は……器じゃねーんだよ。」
「………。」

日が昇るにつれ人間としての彼が濃くなっていく。
だが、想いは変わらない。

「【ボク】がおじーちゃんに感じた気持ちは怖さとは違う……強くて…カッコよくて…でもどこかにくめない。だから皆ついてゆく……【あこがれ】なんだよ。畏れ…ってのは。」

彼の言葉を玉章はただ静かに、私もその後ろ姿を見つめたまま聞いていた。
そして…更に後ろの方では犬神さんが針女さんと一緒に立ち見守っている。


続く。

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