【ぬらりひょんの孫】転生・・また転生（女主）

１話 ページ3

゛…姉ちゃん！゛
゛A…゛

何もない空間に響き渡る私を呼ぶ声…
そして目の前に現れたのは二度に渡る転生で出会った大切な人達だ。
人種も世界も違うが私にとって大切な人達。
彼らに再び会うことは出来ないが忘れなければこうして夢で見る事はできる。

『………良い夢ですね。』

そう呟くと私を呼ぶ声は消え、かわりに目覚ましの音が耳に響いてきた。
そして…

「Aー！朝じゃ！起きなさい！」
『……あと６時間〜』
「昼まで寝るつもりか！？」

朝からハイテンションで扉を開けて入ってきたのは７０歳前半の祖母だ。
…私の朝は目覚ましと祖母の大声のダブルパンチで始まる。
ゆっくりと布団から起き上がり着替えを始めた私を確認した彼女は部屋を去って行き、外を見ると桜が綺麗に咲いていた。

(……あれから８年ですか。)

転生を繰り返した私は３度目の人生を送っている。
私が生まれてすぐに母は亡くなり、父と祖母が４歳までこの家で育ててくれた。
しかし…ある人間により父は理不尽に殺され、今は祖母と２人暮らしだ。

゛…可愛い……私達の子……貴女はA…私達の大切な宝もの……生まれてきてくれて…ありがとう…゛
゛……A…愛してる……僕と…母さんの…宝もの…゛

今でも思いだす息を乱し嬉しそうな母と…血まみれの父の最後の笑顔と言葉は私の心が闇に落ちない為のストッパーとなっている。

着替えを済ませた私は祖母と二人で朝食を食べながら何気ない会話をし庭で【念】の修行を開始。

(…【絶】)

これは１番最初の世界で弟とよく読んでいた漫画の特殊能力だ。
赤子の頃はやる事もなく暇だった私は夢を見て思い出したこの【念】の修行を始めた。
世界の違いの為か基本と応用しか出来なかったが…この世界で生きていくのに十分な力となっている。

『……………。』

【妖怪】【神】…私にとっては空想の存在だったが、この世界には普通に存在している。
私の父も【化け猫妖怪】であり、その娘である私も半分は妖怪だ。
祖母もこの事は知った上で共に暮らしている。

゛…お前まで……いなくならないでおくれ…゛

父の葬儀の時に祖母は涙を流し私を抱きしめそう言った。
彼女に同じ悲しみをさせない為には…この弱肉強食の世界で死なない為には強くなければならない。
この時から私の修行時間は更に増え、今ではどこぞの戦闘キャラだ。

(大丈夫ですよ。おばあちゃん……私は…絶対に死んだりしないから…)




〜続く〜

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